2016年9月分の米国雇用統計が10月7日発表された。市場の一部ではまだ雇用統計が米国利上げに関係すると考えている層がいるようなので、少しだけコメントしておこう。
「米国の債券市場」カテゴリーアーカイブ
フィッシャー副議長がついに長期停滞論に言及、利上げと低金利継続で割れる理事会を象徴
10月5日、Fed(連邦準備制度)のフィッシャー副議長がニューヨークで講演(原文英語)し、アメリカ経済の恒常的停滞の可能性、つまり米国元財務長官ラリー・サマーズ氏が主張する長期停滞のリスクに言及した。
つい先日、サマーズ氏がブログでFedは世界経済の長期停滞を認めるべきだと主張しており、サマーズ氏の名前を挙げて長期停滞のリスクに言及したフィッシャー副議長はそれに明確に答えた形となる。アメリカ経済の長期停滞についてはこれまでブレイナード理事などが言及してきたが、フィッシャー副議長はバーナンキ元議長やECBのドラギ総裁らを教え子に持つことで知られ、影響力の強いフィッシャー氏がそのリスクについて明言したことは今後のアメリカの利上げ観測を占う上で大きな事項であると言える。
金価格下落の理由、今後の相場予想とバブルシナリオ再点検
金価格が急落した。金相場だけではなく円やユーロなども下落しているため、利上げ懸念が再燃してドル高になったと簡単に説明することも出来るが、ゴールドに賭けている投資家にとっては金価格に影響を与える経済指標の短期的推移を厳密に点検した上で、金相場の状況がどうなっているのかをより詳細に把握しておくべきだろう。そうでなければ上がり下がりを曖昧に理解したまま一喜一憂する賭博師になってしまう。
元米国財務長官サマーズ氏: アメリカの利上げは不要、現行の金融政策は矛盾している
元米国財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏が自身のブログ(原文英語)でアメリカの金融政策を担うFed(連邦準備制度)に対して苦言を呈している。Fedは長らく利上げを行うと主張してきているが、その目的は2015年12月に一度利上げをしたのを最後に果たされていない。
サマーズ氏は以前よりFedの経済モデルが時代遅れのものであり、世界経済に存在するデフレリスクを適切に考慮していないとして批判を続けてきたが、今回の記事ではFedの抱える矛盾をよりあからさまに指摘している。
記事ではサマーズ氏はFedに対して4つの注文を付けている。以下、順に見てゆこうと思う。
9月FOMC会合結果速報: 利上げ見送り、年内の利上げはどうなるか
米国時間9月21日、アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合を行い、利上げの見送りを決定した。
事前にイエレン議長やフィッシャー副議長を含むFed関係者からタカ派のコメントが出ていたことから利上げの有無が注目された会合であり、カンザスシティ連銀総裁ジョージ氏、クリーブランド連銀総裁メスター氏、ボストン連銀総裁ローゼングレン氏の3人が0.25%の利上げを主張したが、イエレン議長を含む多数により否決された。前回の会合で利上げを主張したのはジョージ氏だけだったが、利上げを主張するメンバーの数が増えたことになる。
レイ・ダリオ氏が語る米国利上げの危険性と日銀の追加緩和が効かない理由
世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運営するファンドマネージャー、レイ・ダリオ氏がCNBCの主催するDelivering Alpha会議(原文英語)でアメリカの利上げと世界経済に残された金融緩和の手段について語っている。世界中の投資家が米国利上げの影響と金融政策の先行きについて注目する中で発せられたダリオ氏の意見は、多くの投資家にとって傾聴に値するだろう。
アメリカ利上げ懸念で米国株暴落か
利上げを支持するFed(連邦準備制度)高官らの発言にもかかわらず史上最高値付近を維持していた米国の株式市場が急落した。契機となったイベントは特に見当たらず、連銀総裁らは相変わらずアメリカ経済に強気の発言を繰り返してはいたが、フィッシャー副議長の「イエレン議長の発言は今年中に2度利上げする可能性に整合的」以上に強気の発言が新たに出たわけでもない。
それでも量的緩和とその後の利上げ懸念後退によって長年支えられてきたアメリカの株式市場は、利上げが今後も継続するのであれば暴落せざるを得ない。2016年中に1回の利上げであっても株価が史上最高値付近で推移していられるほど呑気な状況でもないはずであり、ある程度の急落は当然といったところだろう。
金利先物市場は米国利上げをどの程度信じているのか?
アメリカ利上げである。アメリカ経済の減速が始まっているにもかかわらず、イエレン議長を始めとするFed(連邦準備制度)の関係者が続々と利上げを支持するシグナルを送っており、市場関係者は実体経済に対して強すぎる金融引き締めが金融危機を引き起こすのではないかという懸念を抱えているところだろう。以前説明した通り、2008年のサブプライムローン危機もそのようにして起きたのである。
ジャネット・イエレン氏: アメリカ経済は1970年代のスタグフレーションを繰り返してはいない
以下はFed(連邦準備制度)の現議長ジャネット・イエレン氏がサンフランシスコで行った講演(原文英語)の抜粋である。
1970年代のスタグフレーションの亡霊がその醜い頭をもたげているとの懸念が聞かれる。スタグフレーションとは、賃金と物価の上昇スパイラルによって生じると考えられており、それは中央銀行の金融政策への信頼が失われ、期待インフレ率を制御できなくなることで悪化することがある。
最初に種明かしをしておくが、これは2016年に行われた講演ではない。しかしこれがいつの講演かを言う前に、2%を超えて加速するアメリカのコアCPIと賃金のグラフを眺め、最近の好調な雇用統計を念頭に置きながらこの講演の続きを読んでもらいたい。
2017年への金価格の推移予想: 長期的にはバブルになるが、短期的には山を越える必要あり
久々の金相場見通しである。金については2015年よりフォローしているが、以下は最近の経済データを踏まえた最新版であり、特に短期的に金価格が下落するリスクに焦点を当てて今後の動向を予測している。やや長い記事になったが、その分詳しく説明できたのではないかと思う。