4月FOMC結果はゼロ金利維持、アメリカも日銀と同じ運命か

アメリカの中央銀行Fed(連邦準備制度)は米国時間4月28日から29日まで金融政策決定会合であるFOMC会合を行い、ゼロ金利の維持を決定した。米国の政策金利はコロナショックで0%-0.25%のレンジまで利下げされており、これを維持した形となる。

予想通りの会合結果

会合の結果はほぼ事前の予想通りとなった。但し金利先物市場では11.8%の確率で利上げがあるという可能性が織り込まれていたので、以下の記事に書いたように利上げがないという88.2%の確率に賭けた投資家は僅かな利益を得たことになる。

この状況でパウエル議長が利上げを強行できるとは思えず、この投資に関しては筆者はフリーランチ(市場においてただで拾えるお金のこと)に思えてならなかったため、スケジュール外の金利決定やFedのコントロールを超えて短期金融市場が急落する可能性など特殊なシナリオを織り込んでのことかとも考えたが、ただのフリーランチだったようである。

さて、問題となるのは今後アメリカの政策金利がどうなってゆくかである。声明文では今後の金利の動向について次のように書かれている。

ゼロ金利は経済が現在の局面を抜けきり、最大雇用と物価安定というわれわれの目標への道筋へと戻るまで続けられる予定である。

当分はゼロ金利継続ということである。一方で国債や社債などを買い入れる量的緩和や短期金融市場での資金注入については最後に次のコメントが入っている。

市場の動向を注視しており、今後の計画を適切に調整する準備ができている(原文:is prepared)。

これは緩和措置を今後一部撤回する準備ができていることを示唆する文章のようである。

これは量的緩和というよりは短期金融市場でのオペレーションを縮小あるいは撤回するということではないだろうか。Fedは短期金融市場が資金不足に陥り、金利が急騰したことから短期市場に資金注入を開始していた。しかし量的緩和を公式に再開したことで実質的に同じような政策が2つ同時に進められる状況となっており、量的緩和に一本化するのかもしれない。

今後の金利動向

いずれにしてもパウエル議長が強気でいられるのは株式市場が上昇している限りであり、2018年とは違って中央銀行が自由に金利を決められる状態ではなくなった。世界経済がここから長らく新型コロナウィルスによる景気後退に入ることを考えれば、日本やユーロ圏に続いてアメリカでも金利は二度とゼロから上に上がることはなく、量的緩和が停止されることももうないかもしれない。

そうすればどうなるか。緩和措置にもかかわらずこの先経済が減速し続けた場合、中央銀行はこれ以上何も出来ないことになる。それは中央銀行ではなく実体経済が株価の運命を握る相場が帰って来るということである。

40年間中央銀行が市場を操作し続けた時代がようやく終わろうとしており、投資家が中央銀行の動向ではなく実体経済の動向を考えながら投資をできる健全な時代に戻ろうとしている。投資家にとっても実体経済にとっても良いことである。