コロナ銘柄の代表格、動画配信のNetflixが売上不振で株価急落

恐怖の決算シーズンの開幕である。アメリカではぼぼ全面的なロックダウンが行われていた4月を含む第2四半期の決算シーズンが始まっているが、ロックダウンで外出が出来なくなったことによる巣ごもり需要が期待されていたオンライン動画配信サービスのNetflix (NASDAQ:NFLX)が期待はずれの決算を発表し、時間外取引で株価が一時10%急落した。

大勢が自宅で映画を見ていたはずが

Netflixは売上高の急激な伸びが期待されているいわゆるグロース株だが、第2四半期(Q2)の売上高は61億ドルとなった。これは前年同期比で24.9%の成長だが、この成長率がここ1年ほどでどうなっているかと言えば、次のようになっている。

  • 2019 Q: 31.7%
  • 2019 Q: 30.6%
  • 2020 1Q: 27.6%
  • 2020 2Q: 24.9%

着実に鈍化している。それでも20%以上の高成長ではないかと思うかもしれないが、こうしたグロース株はその高成長を前提として100を超える株価収益率を正当化してきたのであり、それが揺らぎ始めると株価の評価基準はグロース株の水準から単なるハイテク株の水準まで落ちてくることになる。Netflixの株価チャートは次のようになっている。(時間外取引は反映されていないので、下落前のチャートである。)

何より問題なのは、ロックダウンのために外に出ることが出来ず大勢が自宅で映画を見ていたはずの4月から6月にかけての決算でこれまでの成長鈍化をただなぞるような結果が出ていることであり、ロックダウンが緩まっている2020年後半には更なる鈍化が予想される。実際にNetflixは次のような声明を出している。

今年前半の強いパフォーマンスは後半の需要をいくらか先食いしたものであると想定される。

人々は思ったよりも家でお金を使っていなかったということである。

コロナ相場は次のフェイズへ

これまでの相場では、ハイテク株がその他のセクターを大きくアウトパフォームする展開となっている。以下はS&P 500のチャートである。

そして以下がハイテク株中心に構成されるNASDAQのチャートである。

しかしコロナ相場が「レストランなど一部のセクターは大きく被害を受けたがハイテク株などはそれほどでもなかった相場」であるという考えは徐々に正されてゆくだろう。以下の記事で分かりやすく説明したように、一部のセクターで起きた資金の消失は徐々に経済全体に波及してゆく。

しかしこれらの記事を読めば分かるように、それが経済全体に波及するまでには少なくとも半年から1年の時間がかかる。したがって相場は今年の後半から来年の終わりまでの長いスパンでこれを織り込み、ハイテク株一辺倒の相場は徐々に是正されてゆくだろう。

これは特定のセクターの問題ではなく経済全体の深刻な問題であり、ハイテク株といえどもその影響を逃れることは出来ないのである。いずれにしてもコロナによる景気後退があまりに大規模なものであるため、投資家もかなりの長期スパンで物事を考えなければならない。

結論

しかし当面はここからの決算とそれに対する市場の反応に注意を払いたい。これほど明確なことはないのだが、第2四半期の決算発表後に株価が下がるということは第1波のロックダウンでさえ市場はまだ織り込んでいなかったということである。

何度も言っているように、まだ全体に波及してもいない第1波の経済的影響は経済にとってはここから更に長引く停滞の序奏でしかない。そして日本でもアメリカでも第2波が始まっている。

消費者は自宅でもお金を使わないとなれば、経済はどうなってしまうのだろうか。これから発表されてゆく決算がその概要を教えてくれるだろう。