ガンドラック氏: 現金給付と失業保険が失業を悪化させる

債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏がYahoo! Financeのインタビューで様々な話題について話しているが、先ずは実体経済の問題から紹介しよう。

コロナと失業

コロナ後、多くの国で失業率が大幅に上昇したのは以前報じた通りである。GDPが大きく回復しているアメリカでも失業率はコロナ前の水準から大きく上がっている。

最新の数字は6.1%であり、コロナ前の3%台を大きく上回っている。

多くの人が職を失っているように見えるが、ガンドラック氏によればそれにはからくりがある。彼は次のように述べている。

800万の求人が満たされないままになっている。何処に行っても企業は「求人が埋まらない。誰も応募してくれない」と言っている。

こうなるのは現金給付や失業保険の拡張を始めた時から明らかだった。家でNexflixで動画を見ている方が働くよりも儲かると一定数の人が気付いた。だから職場に帰ろうとしない。

日本では昨年10万円が給付されたが、現在は緊急事態宣言に影響される人々への保証さえまともに行われていない状態だが、アメリカでは文字通りお金が降ってくる。現金給付は合計3回行われ、失業者への保護は更に手厚い。

ガンドラック氏は次のように続ける。

危険なのは、政府から降ってくるお金に終わりがないように思えることだ。次々と新たな給付が決定される。

ニューヨークやカリフォルニアでは多くの人が失業者として登録することで57,000ドル(訳注:約600万円)を非課税で受け取っている。

現金給付は合計で3回行われた。失業者への支給はそれこそかなりの額になる。

経済にお金を流し込めばGDPは上がり株価も上昇する。しかしそれで本当に経済が回るわけではない。働かずともお金が入ってくるなら誰が働くのだろうか。そしてそれは望ましい状態なのだろうか。経済全体の受け取る財とサービスは有限なので、誰かが無償で何かを手に入れれば、実質的には他の人が何かを失っているのである。

だからガンドラック氏は去年コロナ対策での過剰な景気刺激に反対した。

しかしアメリカの現状はこうなっている。株価が上がる限り、誰も反対しないのだろう。