COP26の化石燃料事業への融資停止はエネルギー価格高騰をもたらす

イギリスのグラスゴーで行われたCOP26で、化石燃料に対する公的融資を2022年末までに停止することで20ヶ国が合意した。

世界にエネルギーが有り余っている訳でないにもかかわらず、人為的に化石燃料を干上がらせようとする脱炭素政策はすでに原油と天然ガスの価格を大幅に高騰させているが、この決定でその傾向は止まらなくなるだろう。

脱炭素政策が引き起こす世界的エネルギー危機

脱炭素政策とはヨーロッパやアメリカのリベラル派が考え出した化石燃料の使用を減らす政策である。けむりが減るのは良いことかもしれない。しかし政策として具体的に何が行われているかを知らない人々も多いはずである。

脱炭素政策の主な試みの1つは例えば、原油など化石燃料を採掘する企業に対する締め付けである。例えば今回COP26で合意されたように、化石燃料を採掘する事業に対して融資を制限することにより、化石燃料を採掘しにくくしようとしているのである。

こうした政策が好きな人々に少しの経済学の知識でもあれば良かったのだが、残念ながらこうした政策の帰結として当然の結果が起こってしまった。原油および天然ガス価格の高騰である。原油価格は以下のように推移している。

天然ガス価格は以下である。

当たり前だがエネルギー価格は人々の生活に非常に重要である。上の天然ガス価格はアメリカのものだが、脱炭素政策は特にヨーロッパで人気であり、ヨーロッパでは特に念入りに脱炭素政策が断行された結果、貧しい人々が暖房なしで日本より寒い冬を過ごす瀬戸際になっている。フランスはエネルギー価格が上がったのでその分現金給付を行うと言っているが、当然ながらインフレはもっと酷くなるだろう。

ちなみに中国ではろうそくを使って対処している。

対岸の火事ではない

日本でもガソリン価格の高騰という形で影響が出ているが、これはまだまだ序の口である。COP26によればこうした傾向を抑制するどころかもっと強化するそうだから、既にかなり上がっているエネルギー価格はこれからも上がり続けるだろう。

日本はまだガソリン価格だけに大きな影響が出ているので国民の大半は気付いていないが、筆者の見立てでは来年には電力価格の高騰という形でより広範囲に悪影響を与えるだろう。それで大半の消費者がやっと状況の深刻さに気付くわけだが、気付いた時には遅いのである。

エネルギー価格は世界中である程度同期しているため、西洋で脱炭素政策が強行され続ければ、日本の電力価格は高騰を逃れることが出来ない。

筆者がこの脱炭素政策を移民政策以来の西洋から降ってきた悪政だと見なしているのは、エネルギー価格高騰が世界のすべての人の生活の根幹を揺るがす問題だからである。

問題はすべてリベラル派の政治活動から始まる。移民政策では難民でも何でもない中東の人々をより給与水準の高い生活という餌で釣り上げたが、その結果として自国にいれば貧しくとも普通に暮らせたであろう多くの移民が地中海で溺れ死に、ヨーロッパに辿り着いたものの異国に馴染めなかったものは現地でテロや性犯罪を起こして多くの現地人が犠牲となった。これらすべてはリベラルの人々が引き起こしたことである。

そして今また彼らは何も反省することなく、自分のイデオロギーのために他人を犠牲にしようとしている。経済学者のラリー・サマーズ氏らが警鐘を鳴らしているが、彼らは聞く耳を持たないだろう。

はっきり言っておくが、脱炭素政策が強行され続ければ日本の電力価格は家計が耐えられないレベルまで高騰する。そうなってからでは遅いのである。いい加減にエコだのグレタだの言っていないで、他人のことを考えてもらいたい。あなたがたは環境に優しいのではなく、自分に優しいのである。