世界最大のヘッジファンド、米国株保有を更に減らしてリスクオフ

引き続き、機関投資家の米国株買いポジションを開示するForm 13Fである。今回はレイ・ダリオ氏が運用する世界最大のヘッジファンドBridgewaterのポートフォリオを紹介する。

ダリオ氏の相場観

ダリオ氏の今の相場観についてはずっと報じ続けているが、アメリカ経済に対してかなり悲観的な見方をしている。

今回は3月末時点のポートフォリオに関する開示だが、開示に掲載されているポジションの総額は前回12月末の183億ドルから164億ドルに減額されている。

Bridgewaterは多い時には250億ドル近い米国株買いポジションを積み上げていることもあったから、ダリオ氏が全力時に比べてそれほど米国株を買っていないということが分かる。

新興国株の買いは継続

内訳はどうなっているだろうか。相変わらず一番規模が大きいのは新興国株ETFで、iShares Core MSCI Emerging Markets ETFを8.7億ドル、Vanguard FTSE Emerging Markets ETFを3.4億ドル保有している。

前者の株価チャートは次のようになっている。

新興国株とは中国株などだが、結局こうした銘柄の動きもアメリカの金利が決める。去年の秋にアメリカのインフレ率が減速を始めてから、アメリカの金利とドルが下がったことが新興国の株式と通貨に味方している。

アメリカの長期金利は次のようになっている。

新興国株ETFのチャートをほとんど上下逆にしたものとなっている。

だからこれからもアメリカの金利が継続して下落すれば、新興国株ETFは上昇することになり、ダリオ氏は金利低下を予想しているということになる。

しかしそれではアメリカの金利低下に賭けても新興国株ETFの上昇に賭けても同じことだということになってしまうのが投資の難しいところである。ちまたで分散投資を奨めている人は、複数の銘柄に投資をしてもそれだけでは分散になるわけではないということを理解していないことが多い。

P&G

ETF以外の個別銘柄ではどうだろうか。個別銘柄で一番ポジションが多いのはProcter & Gambleで、規模は7.3億ドルである。

だがこちらもやはり似たようなチャートをしている。P&Gはいわゆる配当銘柄だが、配当と金利は競合するので、金利が下がれば高配当銘柄の魅力が相対的に上がり、買われるわけである。

しかし配当については債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が不吉なことを言っていた。今やアメリカの利上げで配当よりも政策金利の方が高いのである。

つまり、政策金利をある程度反映した金利を得られる銀行口座を選べば、アメリカでは配当株以上の金利を無リスクで得られることになる。

Johnson & Johnson

ダリオ氏のポジションに話を戻そう。2番目に規模が大きい個別株はJohnson & Johnsonであり、規模は5.6億ドルである。

こちらはP&Gほど上手くは行っていないが、一応底を打ったような形にはなっている。いずれにせよP&Gと似たようなポジションである。

PepsCo

3番目はPepsCoであり、規模は5.1億ドルとなっている。

こちらはかなり好調だ。そもそも株式市場全体が下がった2022年も株価上昇で終えている。

PepsCoも含めあまり代わり映えしないダリオ氏のポートフォリオだが、今回分かったことが1つある。配当株として紹介していたこれらの銘柄だが、共通点としてはインフレになっても消費から削られにくい銘柄であるということだろうか。

ペプシコーラが生活必需品かどうかは微妙なところだが、アメリカ人のやることである。あとは海外売上が最近のドル安で上がっていることも最近の好調の理由だろう。

結論

景気後退でも成長するグロース株に賭けたスタンレー・ドラッケンミラー氏や、債券トレードを工夫しているソロスファンドも含め、それぞれファンドマネージャーたちの工夫が見られる。

だがダリオ氏も含め、景気後退を控えたポジションになっていることは共通している。

今後半年が勝負だろう。