世界最大のヘッジファンド: 買いたい銘柄を買うな、買いたくない銘柄を買え

相場も天井圏らしい動きになってきたが、こうした場面にふさわしい助言を取り上げたい。世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏による投資のアドバイスである。

ダリオ氏はYahoo! Financeによるインタビューで個人投資家に対する助言を行っている。彼はいつものように様々な国の様々な資産に分散投資をすることを進めた上で、資産を買う時には次のようにするように助言した。

直感と逆のことを行え。投資というゲームでは直感や大衆の言うことと逆のことを行わなければならない。何故ならば、市場は大衆の考えを反映しているからだ。だから、誰も買いたいと思わないものを買わなければならないし、誰も売りたいと思わないものを売らなければならない。それは感情的に難しいことだ。

今の市場にふさわしい助言ではないか。米中通商合意を控え、誰もが株式市場に楽観的になっている。しかし市場を注意深く観察すれば楽観的になれる状況ではないことが分かる。

それでも市場は天井圏では常に楽観し、底値圏では常に悲観的になる。買う人が一番多い状況を天井と呼び、売る人が一番多い状況を底と呼ぶからである。2007年に市場に対して悲観的だったのはジョージ・ソロス氏などを含む極一部のファンドマネージャーだけである。そして2008年の終わりには誰もが悲観的だったが、そこが株価の底値だった。

だから個人的には市場が楽観的であればあるほど、それが天井であることを確信する。2018年の株安前の状況がそうだった。

現在は十分に楽観的だろうか? 米中合意に対する不安がまだ残っている。つまり、天井はもう少し先だろう。十分に楽観的ではないからである。

ダリオ氏はそもそも株価のタイミングを狙うこと自体が個人投資家には向かないと主張している。

マーケットタイミングというゲームに関して言えば、個人投資家が上手くプレイするのは難しいだろう。大量のリソースが必要になるからだ。われわれは何億ドルもの資金を毎年このゲームのためにつぎ込んでいる。われわれにとっても難しいゲームだ。

だからマーケットタイミングを上手くやろうとすること自体に警戒しなければならないが、それでもやらなければならない時は感情的に不快な選択肢が正解だ。何故ならば、それは直感に反しているからだ。

莫大な資金を投じているヘッジファンドにとっても簡単なゲームではないからである。しかし長期投資をするにしても買うタイミングは選ばなければならない。

そうした時には市場がどれだけ楽観的かを見れば良い。今は株を買うべきタイミングだろうか? それは明らかであるように思える。

多くの個人投資家が買いたいと思うチャートだろう。しかし実際にはどうなるだろうか。

ダリオ氏の個人投資家への助言については過去にもより詳しいものを取り上げている。そちらも参考にしてもらいたい。