ロシア、プーチン大統領: ISIS(イスラム国)は米国のオバマ大統領が作った

ロシアのプーチン大統領が米国ジャーナリストに向けた記者会見で、ISIS(イスラム国)がどのようにして作られたかを語っている。

シリアの情勢は米国とロシアの対立という意味でも、ヨーロッパに移民が大量に流入しているという意味でも世界情勢にとって重要であり、これらの実情を理解しておくことは必要だと考えるので、記者会見の内容を翻訳しておきたい。

翻訳

オバマ大統領はISIS(イスラム国)が驚異だと語ったが、彼らを武装させたのは誰だというのか。アサド政権と戦っているシリア人を武装させたのは誰だというのか。シリアの状況を創出するために政治上、そして諜報上必要な条件を生み出したのは誰だというのか。

要するに、あの領域に武器を持ち込んでいるのは誰なのかということだ。あなたがた(米国ジャーナリスト)は本当に、シリアで戦っているのが誰か、分かっていないのですか? 彼らのほとんどは傭兵です。彼らが金で雇われているということを理解していますか?

傭兵はどちら側であれ、金をより多く払う側に付きます。米国は傭兵に金を払っています。いくら払っているかもわたしは知っています。彼らは武器を与えられ、戦い、その武器は戦闘が終わった後も返ってくることはありません。

その後、彼らはその武器を持って、もう少し多く給与を払ってくれる組織(訳注:ISISを指す)を見つけ、その組織のために戦います。そしてシリアであれ、イラクであれ、油田を占拠するのです。

こうして得られた石油は誰かに購入されることになります。こうした石油に対する経済制裁は何処にあるのですか? あなたがたは、この石油を買っているのが誰か、米国が知らないと本当に信じているのですか? ISISから石油を買っているのは、米国の同盟国ではないですか?

米国にはこれらの同盟国に対し、石油を買うなと言えるだけの影響力があるとは思いませんか? あるいは、この点に関してだけは、米国はその影響力を行使したがらないということなのでしょうか?

では、米国は何故ISISを空爆するのでしょうか? 米国が傭兵に金を払い、彼らが石油を掘っている地域でです。こうした地域では、シリア市民とされている反政府軍はすぐにISISに加わります。彼らのほうが金払いが良いからです。

このような政治はあまりに杜撰だとわたしは考えています。現実の世界にある事実に基づいていません。

米国は「われわれは民主的なシリア市民を助けなければならない」と言うでしょう。そして彼らを武装させ、次の日には彼らはISISに参加しているのです。

あなたがたはこれが本当に政治的な前進だと考えているのですか? われわれはこうした米国の政治が理解できないのです。このような行動は米国を含むすべての利害関係者を傷つけるものです。

われわれロシアの国益のために言えば、あなたがた米国のジャーナリストが、こうした質問を米国でぶつけてくれることを期待しています。そうすればいつの日か、米国政府に届くこともあるかもしれません。そうすればいつの日か、こうした状況が打開できるかもしれません。

それが難しければ、少なくともわたしのメッセージを米国政府に届けて下さい。米国大統領に、副大統領に、すべての関わりのある人々に。われわれは米国との対立を一切望んでいないのです。


翻訳は以上である。正当な主張もあり、そうでない主張もある記者会見であるが、事態の実情を理解するために必要であるのは、日本を含め、米国に寄りすぎているいわゆる西側の報道のみに耳を傾けるのを止めることである。政治に汚染された情報を聞いて、何かを考えたとしても碌なことはない。あまりに多くの情報が意図的に歪められている。

個人的にはシリアはどうにもならないように思う。これは宗教の問題ではなく、この地域に戦闘で生計を立てようとする土人があまりに多いことが問題なのであり、これは彼らがすべて消失でもしないかぎり終わらないことである。

このとばっちりを一番受けているのはシリア難民が流入しているヨーロッパであり、そのヨーロッパを主導するドイツは自分勝手な理由で、少数の理性あるシリア人と、自分の利益のみを主張して大騒ぎする多くの移民と、テロリストとを一切の区別なくヨーロッパに呼び込み、それに反対するまともなハンガリーなどが一番被害を被っているわけである。

投資家としては、移民流入がドイツなどの不動産価格に及ぼす影響などを考えるところだろう。戦火の拡大が金融市場に大きな影響を与える日も遠くはないのかもしれない。