トランプ相場: ジム・ロジャーズ氏が日本株買い転換、ドル円120円は「有り得る」

ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを設立したジム・ロジャーズ氏が、アメリカ大統領選挙におけるトランプ氏勝利を受けて日本株を買い持ちしていることを明らかにした。アベノミクス初期に日本株を買い、その後売却したことを公にしていたロジャース氏は、トランプ次期大統領の経済政策を受けて投資方針を再び転換したことになる。

日本株買い、円相場はポジション無し

日経新聞によれば、大統領選挙後の取材でロジャーズ氏は日本株を買い持ちしていることを明らかにした。一方、円のポジションは取っていないという。

トランプ氏の勝利後、日経平均は確かに上がっている。日経平均のチャートは以下のようになっている。

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しかしながら、日本株上昇の唯一の理由はドル円の上昇であり、円安によって好影響を受ける輸出株などが買われているのである。ドル円のチャートは以下のようになっている。

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日経の記事ではロジャーズ氏が日本株を買っている理由は明らかにされていないが、ロジャーズ氏はドル円については120円も有り得るとしているようである。

記事では触れられていないが、これは恐らくアメリカの長期金利に対するロジャーズ氏の見方によるものだろう。ロジャーズ氏は別のインタビューでアメリカの長期金利が上昇するという予測を発表している。アメリカの金利が上がればドル高になり、ドル円が上がり、日本株が上がるということである。

アメリカの長期金利のチャートは以下のようになっている。

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日本株はドル円よりも買いなのか?

ここで生じる疑問点は、では彼は何故ドル円を買わずに日本株を選んだのかということである。

ドル円と日本株を比べると、日本株を買う理由は見当たらない。アベノミクスの利点は消費増税によってすべて消失してしまった。増税によって実体経済の生きた需要を吸い上げてから、公共事業という政府が恣意的に選んだ支出として資金を吐き出すことは、政治家の周りにある利権を喜ばせる以外の利点は何もないことは、ここで何度も指摘している。

自民党の経済政策は財務省による消費増税と経団連による法人減税という利権同士の談合の産物であり、それ以上の何ものでもない。経済学など一切考慮されていないのである。

一方で、ドル円の側を見てみると、ドル高に賭けるのであればとりわけドル円を買うべき短期的理由が存在することが分かる。何故ならば、トランプ氏勝利後のドル円の上昇相場においては、これまでドル円を空売りしてきた投機筋が大量に踏み上げられているからである。

大統領選挙以前の相場においては、外国人投資家の観点から言えば、日本株の話など話題に登ることもなかったが、ドル安に賭けるためにドル円を空売りしていたヘッジファンドは結構存在していた。そうした投機筋がトランプ氏勝利後のアメリカの金利上昇で、ドル円相場において大いに踏み上げに遭っており、その分ドル円の反発は急激なものとなっているはずである。事実、チャートを見てもそれは正しいと言えるだろう。

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結論

ロジャーズ氏が何故ドル円ではなく日本株を買っているのかについては不明である。しかし、それを一つの機会として、こういう場面で何を買うべきなのかを比べてみることは意味のあることだろう。

日本株とドル円は今後どうなるのか? 日本株はドル円次第であり、ドル円はアメリカの長期金利次第である。アメリカの長期金利については既に以下の記事で書いている。

この記事では長期金利の理論値の計算方法を説明した上で、理論的な高値は2.7%程度だろうとしているが、ドル円が120円まで上昇する可能性を指摘しているロジャーズ氏は、逆に言えば長期金利がもっと上がる可能性を考えているのかもしれない。

いずれにせよ、どちらが正しいかはトランプ氏の金融政策に依存する。トランプ大統領は高金利を望むのか? あるいは低金利が必要になるのか? 現状で一番状況を包括的に述べているのは、以下のわたしの記事か、あるいは世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏の見方だろう。

余談だが、トランプ政権の要職に就く人物が徐々に決まりつつあるようである。それらの顔触れについても近々記事を書きたいと思っている。