新型コロナ、中国で感染者数が再び急増 世界的に第二波襲来の可能性

中国の武漢から始まった新型コロナウィルスの世界的流行で、最初に感染が広まった中国ではアメリカやヨーロッパよりも早く流行が落ち着き始めており、武漢市の移動制限も4月8日に解除、ロックダウンが正式に終了していた。しかしその中国で感染者数が再び増え始めている。

中国の感染者数が再び急増

ここではアメリカやヨーロッパを含め世界各国の流行状況を定期的に報じているが、最近のアメリカやヨーロッパと同じように中国でも感染者の増加が1日あたり30%から60%というピークの時期があり、その後増加数はなだらかになっていった。

しかしなだらかになったはずの感染者数の増加がここ数日でぶり返しつつある。直近10日の感染者数(これまでの累計)、1日の増加数、増加率を以下に掲載する。

  • 4月3日: 81,639人 (+19 +0.02%)
  • 4月4日: 81,669人 (+30 +0.04%)
  • 4月5日: 81,708人 (+39 +0.05%)
  • 4月6日: 81,740人 (+32 +0.04%)
  • 4月7日: 81,802人 (+62 +0.08%)
  • 4月8日: 81,865人 (+43 +0.08%)
  • 4月9日: 81,907人 (+42 +0.05%)
  • 4月10日: 81,953人 (+46 +0.06%)
  • 4月11日: 82,052人 (+99 +0.12%)
  • 4月12日: 82,160人 (+108 +0.13%)

これまでの累計が多いので増加率はほとんど意味を持たないが、注目してもらいたいのは増加数である。1日当たり数十人で推移していたものが徐々に増加し、4月12日にはついに100人を超える増加となっている。

この増加分のほとんどは海外からの入国者によるものであり、特に中国北部のロシアとの国境を超えてロシアから中国に帰ってきた帰国者によるものだという。

ロシアでの流行はヨーロッパで新型ウィルスが大流行となった少し後から始まっており、現在もピークを超えたとは言い難い状況になっている。ロシアでの感染者数の推移は次の通りである。

  • 4月4日: 4,731人 (+582 +14%)
  • 4月5日: 5,389人 (+658 +14%)
  • 4月6日: 6,343人 (+954 +18%)
  • 4月7日: 7,497人 (+1,154 +18%)
  • 4月8日: 8,672人 (+1,175 +16%)
  • 4月9日: 10,131人 (+1,459 +17%)
  • 4月10日: 11,917人 (+1,786 +18%)
  • 4月11日: 13,584人 (+1,667 +14%)
  • 4月12日: 15,770人 (+2,186 +16%)
  • 4月13日: 18,328人 (+2,558 +16%)

国境はいまだ世界的に厳しく閉じられているとはいえ、どの国も自国民の帰国に関しては締め付けをある程度緩くせざるを得ない。ここから学ぶことのできる教訓は、自国で状況が改善したとしても近くに新型ウィルスが猛威を振るっている国があればそこからウィルスがまた侵入する可能性があり、それが国内流行に発展すれば感染者数はまた上がり始めるシナリオが十分考えられるということである。

ロックダウンは解除できるのか

中国でも武漢のロックダウンが終了し、また4月の始めに流行がピークに達したイタリアでは一部店舗の再開が決定している。

また、イタリアに続いて状況が改善しているドイツでも移動制限の緩和が議論されている。

筆者は新型ウィルスについての記事を1月から書き続けているが、その際に日本やヨーロッパの先行指標となったのは明らかに中国での流行状況だった。

同じようにロックダウン解除後に新型ウィルスと経済がどうなるかを予想するためには中国のこれからの状況を注視しておくことが必要だろう。

こうしたロックダウンの解除自体は市場と経済にとって良いニュースであり、とりわけ原油価格はその影響を受けるだろう。

しかしこの中国での感染者数の再増加は危険信号である。ロックダウンを解除するとウィルスの流行が再開するのではロックダウンが当分解除できないということになる。以下の記事における株式市場の予想はロックダウンが順当に解除できることを前提としているため、中国やヨーロッパがロックダウンの解除に失敗する場合、この相場観を修正する必要がある。

今週の中国の感染者数の推移は市場にとって非常に大事なデータとなるだろう。どちらにしてもこうした難しい局面ではあらゆるデータを精査し、起こりうるリスクシナリオはすべて検証しておく必要があるのである。