ドラッケンミラー氏、3月の底値でAmazonとNetflix買い増し

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを率いていた著名投資家スタンリー・ドラッケンミラー氏が、新型コロナ下落相場の底値付近でAmazon.comとNetflixを大幅に買い増している。世界的なロックダウンで自宅待機となる人が増える中で、需要が増加したとされている銘柄の筆頭である。

優良銘柄狙い撃ち

新型コロナ相場で株式市場の大半が下落する中、新型コロナで逆に需要が増えたことで一部のハイテク株が逆行高となっていることは以前報じた通りである。

その中でも筆頭がオンラインストアのAmazon.comと映画などをインターネット上で見られるNetflixである。外出して買い物をする人が減った代わりにインターネット上での注文が増えたほか、旅行などに行けなくなった代わりに家で動画を見る人が増えたのである。

しかしこれらの銘柄も3月の時点ではそれほど高いわけではなかった。Amazon.comのチャートは以下である。

ドラッケンミラー氏の3月末のポジションは12月末の4,106万ドルから3億5,231万ドルに大幅増となっている。

Netflixのチャートは以下である。

こちらもドラッケンミラー氏のポジションは1億8,860万ドルから3億1,792万ドルに増加している。

3月の値動きを見てみると、確かに他の銘柄よりは安値も限定されているのだが、それでも3月に買い場はあった。そしてドラッケンミラー氏はこれらの銘柄をピンポイントで買っていったわけである。

ポートフォリオ全体はリスクオフ

一方で、ポートフォリオ全体はリスクオフとなっている。Form 13Fに報告されている米国株買いポジションの総額は34億ドルから25億ドルに減少、銘柄数も62から46に減っている。

相場全体に対してはリスクオフの姿勢を貫いたが、この状況でも有望な銘柄に関しては厳選して集中投資したといった趣きである。単にリスクオフにしたレイ・ダリオ氏より優れた判断だと言えるだろう。

そしてドラッケンミラー氏の目論見通り株価は上がった。では彼の今の相場感がどうなっているかと言えば、以下の記事の通りである。

結論

ドラッケンミラー氏のトレーディングは天才的である。相場全体をしっかり読んだ上で、上がる銘柄に関しては躊躇なく買っていく。『新マーケットの魔術師』の中のインタビューで、ソロス氏のクォンタム・ファンドで働いていたドラッケンミラー氏は言っている。

ソロスによって強固にされた私の投資哲学は、積極的になってもいい状況に恵まれたときは積極的になるべきだ、というものでした。

彼は同じインタビューの中でソロス氏との逸話を回想している。

ソロスの下で働き始めてすぐのころ、私はドルに対して非常に弱気の見方をしていました。それで、対独マルクで大きなドル売りのポジションを作ったのです。そのポジションは、思惑通りの成果を出し始め、私はそれをかなり自慢に思っていました。

ソロスが私のオフィスに来て、われわれはそのトレードについて話しました。

「ポジションのサイズは?」と彼に聞かれました。私は、「10億ドルです」と答えました。

これに対してソロス氏はこう言った。

「それでポジションのつもりか?」


新マーケットの魔術師