ガンドラック氏のドル相場推移予想 コモディティは調整継続へ

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューでドル相場とコモディティ価格について語っている。

コモディティの上げ相場はどうなるか

現金給付などの刺激策によってアメリカではインフレが始まっており、昨年後半から金属や農作物などのコモディティ銘柄が大いに買われてきた。

例えば一番上がったのは銅価格である。

ガンドラック氏もそれを予想した1人だったが、そのガンドラック氏の現在のコモディティ相場見通しは次のようなものである。

わたしの予想ではコモディティ相場が上に突き抜けることはないだろう。

ガンドラック氏の挙げる理由は単純である。

これまでの上昇相場はあまりに直線的であまりに強かった。

これは同じく債券投資家のスコット・マイナード氏のビットコイン下落予想を思い出させる。マイナード氏は最近急落しているビットコインについて次のように言っていた。

どんな市場でも、指数関数的に上がった後は自動的に不安定になる。ビットコイン相場を見て思ったのだが、バブルと呼ぶべきこれほど大きな動きの後は大天井から50%から75%の下落があって当然だ。

しかしガンドラック氏の根拠は恐らくそれだけではないだろう。ガンドラック氏はかねてからインフレの加速が7月頃に一時的なピークを迎えると予想している。現金給付などの短期要因による高インフレが一段落するからである。インフレがピークとなればコモディティ相場の上昇も一旦止まる可能性が高い。物価統計は現在6月のものまで発表されており、今のところインフレは止まっていない。

コモディティとドル

また、今回のインタビューでガンドラック氏が挙げている他の要因はドルである。

ドルは最近数週間で穏やかに強くなってきており、それは続くだろう。そしてそれはコモディティ価格が徐々にフェードアウトすることを意味している。

ドルが強くなったと言うと日本の投資家にはあまりピンと来ないかもしれないが、一番分かりやすいのは人民元と比べてみることだろう。ドル元のチャートは次のように推移している。上方向がドル高元安である。

去年から一方的なドル安人民元高トレンドだったものが先月から少し反発しているのである。これはアメリカのインフレ懸念が収まり、これまで一方的に上昇してきた期待インフレ率が低下したことにもよるだろう。アメリカの期待インフレ率は次のように推移している。

インフレが収まればインフレ懸念での外貨やコモディティへのドルからの資金流出も減ることになる。銅価格のチャートももう一度並べてみれば、期待インフレ率低下のタイミングで下がっているのが分かるだろう。

この意味でドル高予想とコモディティ安予想は表裏一体なのである。

ドル相場見通し

ガンドラック氏はドルの見通しについて次のように述べている。

短期か長期かで変わってくる。短期的にはこの動きが続き、ドルは多少穏やかに上がり続けるだろう。

しかしより長期だとどうなるだろうか。ガンドラック氏は次のように続ける。

コロナ以後急増したアメリカの貿易赤字と完全にタガが外れた財政赤字を考えれば、今年中だとは思わないが、中期的にはドルはかなり下落することになる。

長期的には、ドルは詰んでいる。

長期的にはドルは詰んでいる。しかし短期的には強気相場が継続するとのことである。

一見ドル安に繋がりそうな財政赤字や貿易赤字が何故短期的にはドル高に繋がるのか。

恐らくは財政赤字の拡大で数年ドル高になったもののその後ドルが暴落したレーガン大統領の時代を考えるべきなのだろう。経済学者ラリー・サマーズ氏がドルの見通しについて解説した以下の記事で説明しているので、そちらも参考にしてもらいたい。