マイナード氏: コンセンサスに反して進め

Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏が自社ブログでコンセンサスに反する予想をすることについて語っている。

コンセンサスから外れること

マイナード氏は突飛な予想をして見事に的中させることで有名である。去年は原油価格がマイナスになることを予想したり、今年にはビットコインの下落予想や長期金利の低下予想を的中させている。

マイナード氏の予想にはコンセンサスから外れたものが多い。それでいて予想を的中させてしまう。マイナード氏は自分の予想がコンセンサスから外れていることについて次のように述べている。

Guggenheimが頻繁にコンセンサスに外れた、しばしばクレイジーに見える相場観を持つのは何故かと聞かれたとき、われわれの思考方法はデータ重視で、他人の意見に従うことへの誘惑や重圧に影響される主観的意見ではないからだと答える。

マイナード氏は現在、デルタ株の流行拡大が先進国での大規模なロックダウンに繋がり、株式市場が暴落するという予想をしている。

マイナード氏はそれはデータを見れば明らかだと言う。デルタ株の基本再生産数(1人の患者が何人を感染させるか)は6人であり、初期のコロナの2倍か3倍の感染力があるため、アメリカの人口の半分がワクチン接種済みであったとしても初期のコロナと同じスピードで流行し、ロックダウンを余儀なくされるというのがマイナード氏の論理である。

しかし株式市場は未だ最高値付近で推移している。

マイナード氏の予想はやはりコンセンサスから外れているようである。

コンセンサスに同意して得られるもの

しかしコンセンサスはしばしば大きく間違う。何故コンセンサスは間違うのだろうか。マイナード氏は、コンセンサスの目的が正しい結論を導くことではないからだと指摘する。マイナード氏は次のように述べている。

コンセンサスは多くの人が属する暖かくふわふわした場所で、他人と同意している心地よさや仲間意識、安心感などが得られる。もしコンセンサスが間違っていたとしても、共に嘆き慰め合うための仲間は残っている。

しかしそれは金にはならない。

マイナード氏はコンセンサスに従うことの感情的なインセンティブが存在することを指摘している。そしてそれこそが、コンセンサスが間違う理由である。

コンセンサスは多くの場合論理で考えていない。感情的に心地よいからその方向に流れているだけである。しかし投資家にとっては、心地よい意見に流れることは文字通り命取りになる。

マイナード氏は次のように続ける。

コンセンサスに反する意見を持つことは孤独で孤立した場所で、他人からの安心を得られるどころか厳しい批判に晒されたり、自分への疑いの心が湧き上がってきたりする。常に正しくいられる人は誰もいないし、自分が状況を読み間違えている可能性は常にある。

しかしそれだけが投資で勝つための唯一の道なのである。仮にコンセンサスが正しかったとしても、それが既にコンセンサスになっていれば市場には既に織り込まれており、投資家がそこから利益を上げることはできない。

結論

マイナード氏はまたコンセンサスに反する予想をしている。

ビットコインが最高値を更新していた時に下落予想をし、テーパリング示唆で長期金利が低下すると予想したマイナード氏は次のように言う。

またわれわれはコンセンサスの外側にいる。反対や批判の声が寄せられてくるだろうと予想しているが、われわれには大衆の意見を恐れるよりも大事な、顧客に対する責務がある。

それは正直さだ。