中国恒大集団主席、デフォルトの窮地脱出への謎の自信を表明

引き続き倒産寸前の中国の不動産ディベロッパー、恒大集団のニュースである。20日に期限が来た利払いも達成できず、デフォルトへの懸念がますます高まっている中、恒大集団の主席である許家印氏が従業員宛ての書簡で「もっとも暗い瞬間」脱出への自信を表明している。

頭を抱える許氏

中国のGDPの2%に相当する2兆元の負債をかかえて倒産しかかっている恒大集団のトップである許氏は長らく頭を抱えながら過ごしているに違いない。

理財商品の償還(投資資金返却)が延期になった9月10日には「わたしが一文無しになっても投資家が一文無しになることはない」と訴えて誠実さを示そうとしたが、トップの絶望的な訴えに市場は更に動揺し、株価が下がった。会社の状況が非常にまずいと自分で言ったようなものだからである。

金融市場はある意味では常にポーカーのようなものであり、「良い手札がありません」と表明すること自体がプレイヤーにとって不利になるのである。

実際、恒大集団が助かるには中国政府の救済以外に道はないだろう。20日の利払いは逃したものの、23日の利払いは行うと表明したが、債権者にとっての問題はもはや利払いではなく貸したお金が返ってくるのかどうかとなっており、市場はこの利払い表明をどう受け取って良いのか戸惑っている。

恐らく許氏は絶望的な状況の中、トップの悲観的な姿勢が状況を更に悪くするというポーカーの原理を学んだのかもしれない。そこで23日の利払い表明に加え、従業員宛ての書簡で次のように熱弁をふるった。

あなたがたの協力と勤勉さのお陰で恒大集団は最も暗い瞬間を脱出し、最大規模の建設を出来る限り早く再開して不動産プロジェクトを遂行することができると堅く信じている。

力強い表明ではないか。ちなみに「これから脱出できる」という意味の表現になっているため、まだ最悪の瞬間を脱してはいないということを表明してしまっている。

恒大集団関連銘柄を空売りしている投資家にとっては、政府の救済の目処はやはり立っていないと解釈しても良いだろう。

許氏はもう少しポーカーを勉強する必要がありそうである。

ちなみにある海外のソースでは「恒大集団主席が詩的になっている」と報じられている。許氏の苦難は続きそうである。