中国が不動産バブル崩壊で利下げ、終わりの始まり

ここでは事前に予想していたことだが、中国が利下げした。中国経済の核となっていた不動産の価格上昇が急降下したためで、中国政府も経済を支えるために動かざるを得なくなったということである。

バブル崩壊で利下げ

12月20日、中国人民銀行は政策金利を3.85%から3.8%に0.05%利下げした。アメリカが緩和縮小から利上げに向かい、イギリスでは利上げが開始されている中、中国は逆に動くことを余儀なくされている。

しかし実質的には同じことである。欧米では物価上昇が止まらず利上げを余儀なくされ、中国ではバブル崩壊が止まらず利下げを余儀なくされている。欧米も来年にはインフレのために株価を毀損するレベルまで利上げせざるを得なくなり、バブル崩壊後は利下げによって中国の仲間入りをするだろう。

しかし何故中国だけバブル崩壊が早かったのかと言えば、もう何十年も続いてきた不動産市場の巨大バブルがコロナで持ちこたえられなくなったためである。象徴的なのは1社で中国のGDP2%分の負債を抱えてついにデフォルトした不動産ディベロッパーの恒大集団である。

恒大集団が今月デフォルトして、上記の記事に書いたように他の不動産企業にも波及することがこれで確定的となった。中国政府は自国の不動産業界の惨状を最初から知っているので、利下げはこれまでに起こっている恒大集団などのデフォルトへの対処というよりは、これから起こる連鎖倒産への予防的措置である。

利下げと金融市場

しかし利下げでは不動産バブル崩壊は止まらない。良い例としてリーマンショックの時のアメリカの政策金利と株価のチャートを掲載してみよう。

5.25%の大幅利下げにかかわらず株価が暴落したのが分かる。

当時、不動産価格も同じ動きとなっている。これは政策金利が不動産価格にどう影響を与えるかを考えれば当たり前である。政策金利はまず長期金利に影響を与え、長期金利が住宅ローンの金利に影響を与える。

そしてローンの金利が低くなれば不動産が買いやすくなり不動産市場を下支えできるのだが、利下げを行なってからそこまで数ヶ月から半年程度のタイムラグがある。不動産価格の下落スピードにどう考えても対応できないのである。

これがリーマンショックで利下げをしたにもかかわらず資産価格の下落が止まらなかった理由である。不動産市場は株価よりも中央銀行による恣意的な操作が難しいのである。前から書いているが中国の不動産市場はもう終わっている。

結論

ここまで書いたが、ここの読者には驚きはまったく無いはずだ。何故ならばここでは9月の時点で次のように書いているからである。

恒大集団に投資をして資金を失った投資家、そして不動産価格下落で損をする非常に多くの中国人は、資金を作るために手持ちの資産を売ったり、消費を控えたりするだろう。(中略)この危機を乗り越えるためには中国政府は利下げなど何らかの緩和を行わなければならない可能性が高くなる。

今回の0.05%という小幅の利下げは勿論、象徴的な意味しか持たない。これから利下げを始めますという合図である。しかし上に書いた通り、中国が利下げをするかどうかさえもはや問題ではないのである。