2月の米国インフレ率は7.9%、今後更なる物価高騰へ

年始からずっと言っていることだが、2022年は物価高騰の年であり、今のインフレはまだまだ序の口である。

上がり続けるインフレ率

だが今は足元のインフレを確認してゆこう。2月のアメリカのCPI(消費者物価指数)が発表された。物価上昇率は前年同月比(以下同じ)で7.9%となり、1月の7.5%を上回った。この分だとインフレ率が2桁に達するのもそう遠くないのではないか。

いつも通り全体のインフレ率のチャートから見てゆこう。

コロナ以後の凄まじい上がり方が分かる。

2021年6月頃から踊り場のようになっているが、これはアメリカで最後の現金給付が3月にあり、その影響が6月には一時減退したからだろう。

その後の上がり方は現金給付がなくなったにもかかわらず、インフレを予想していた筆者や著名ファンドマネージャーらにとっても意外なほど急激である。この上がり方自体が、現在のインフレは元々の原因であった現金給付から別の要因へとシフトしたものであることを示している。

現在のインフレの原因

一番の要素はやはり住宅バブルだろう。CPIの内訳のうち住宅の上昇率は全体のチャートと違い、踊り場の部分がない。現金給付の有無にかかわらず加速し続けている。

アメリカにおける住宅価格の高騰については別に記事を書いている。

現金給付は給付した時だけの一時的なものだが、住宅バブルは一度始まると、価格が上がるから買う、買うと上がるの繰り返しで、それが持続不可能になるまで止まらない。

それこそがインフレスパイラルであり、今の住宅価格の高騰はそれを代表しているが、今後は住宅だけでなくあらゆるものが「これから上がるから先に買う」インフレスパイラルに陥ってゆくだろう。

エネルギー価格高騰

その典型が原油や天然ガスなどの高騰を受けたエネルギー価格の上昇である。CPIのうちエネルギーの上昇率は次のように推移している。

こちらも踊り場なく上がっている。ちなみにこれは2月のデータなので、当然ながら2月の終盤から始まったウクライナ危機による原油価格高騰を織り込んでいない。

つまり、エネルギー価格は今後もCPIを押し上げてゆくということである。7.9%という今回の数字は明らかに天井ではない。しかもジェフリー・ガンドラック氏などは原油価格がここから倍になると言っている。

農作物も高騰へ

しかも原油価格の高騰は他のものの価格へも直接的・間接的に影響してゆく。原油を原料とする化学製品は直接の影響を受けるし、コーンや砂糖などの一部の農作物はバイオ燃料の原料となるため、原油に価格が連動する。

そうすると畜産の飼料などの値段が上がるため、原油価格が上昇するだけで食料品全般の値段が上がってゆくのである。そこにウクライナ問題が発生したことで、エネルギーに連動しないはずの小麦などの農作物の価格まで上がっている。

筆者は小麦に投資していたのでそれは良かったのだが、消費者には嬉しくないことこの上ないだろう。

ウクライナ以後のエネルギーや農作物の価格高騰はロシア制裁の影響だが、戦争の原因がそもそもNATOにあることを考えれば、消費者はNATOの戦争のために金を払っているのである。

結論

世間はロシアに対する経済戦争で盛り上がっているが、これまで書いたように西側諸国に大義はまったく無い。

この件で一番の被害者と言えるのはウクライナ国民だが、ウクライナ国民に罪はなくとも、以下の記事で述べたようにウクライナ政府の人間がロシア系住民のいるウクライナ東部で住民に危害を加えていたことは国連の報告書にも書いてある。ただ報道されていないだけである。

よってこのまったく大義のない戦争のために人々はインフレを享受することになるということは書いておかなければならないだろう。投資を通してどのように被害を防ぐかは以下の記事で年始に既に書いてあるので、参考にしてもらいたい。