ウラン投資のポテンシャル: 気候変動と原子力発電

ゴールドや原油など金融市場で取引される資源、つまりコモディティへの投資を経験している個人投資家は全体数から見ればかなり少ないだろうが、ここの読者であればそれなりに経験者がいるだろう。

だがここの読者であってもウランに投資をしたことのある人はそれほど多くはないのではないか。今日はウラン投資について語ってゆく。

気候変動と原子力発電

さて、ウランとはそもそも何かと言えば、カザフスタン、カナダ、オーストラリアなどで産出されるウラン鉱石から取れるエネルギー資源であって、放射能を持つ自然の資源であるために原子力発電に利用されている。

金融市場ではゴールドなど貴金属や原油や天然ガスなどのエネルギー資源、小麦や大豆などの農作物が株式などと同じように取引されているが、アメリカの金融市場にはウラン先物が上場している。つまり、ウランも株式などと同じようにボタン1つで売買が出来るのである。

そのウランの価格がどうなっているかと言うと、ウラン価格にとって大きな契機となったのは2011年の東日本大震災である。福島の原発事故があり、その後ドイツが脱原発に踏み切ったこともあって、原発で使われるウラン価格はどんどん下がっていた。

ちなみにドイツはその後原発だけではなく化石燃料も嫌がったので、エネルギー資源が足りずドイツ人は風呂に入れなくなった。

西洋人は原発と化石燃料の両方を嫌がるとエネルギーが使えないということにようやく気づいたらしい。天才的な頭の回転だが、それで化石燃料よりも原発が良いということになり、ウラン価格は持ち直して来ている。以下はウラン先物の価格チャートである。

ウラン価格の今後の動向

ウラン価格は東日本大震災前の高値水準に近づきつつある。だが、西洋人が本気で脱炭素政策をやり、なおかつ風呂に入りたいのであれば(彼らは入れなくてもあまり気にしないのかもしれないが)、化石燃料が担っていた分のエネルギーは原子力発電で補わざるを得なくなる。

つまり、長期的な観点から見れば、ウラン価格は東日本大震災前の水準を超えていかざるを得ないはずだ。

脱炭素は西洋人の宗教であり、西洋人でも一部の賢明な人々は警鐘を鳴らしている。

だがウクライナでまともな在イギリス大使が解任されたように、まともな人間は常に少数派である。

だから好む好まざるにかかわらず、ウラン価格は長期的に脱炭素政策の当然の帰結に従わざるを得ないだろう。

ウランに投資する方法

米国市場の先物を取引できる口座を持っている人は、ウラン先物を直接取引することが出来る。

だがそれが出来なくてもウランに投資する方法はある。例えばウラン採掘最大手のCamecoに投資する方法である。

Camecoはカナダの企業だが、アメリカに上場しているので米国株として取引されている。値動きもウランそのものの値動きにかなり近い。

また、Global X Uranium ETFというウラン株ETFも存在する。

こちらは最大手だけではなく様々なウラン関連企業を含んでいる。

だからこそ東日本大震災以後の下げ相場では大ダメージとなった。エネルギー資源の価格が大きく下落するとき、生き残ることが出来るのは損益分岐点の低い(低いコストで採掘できる)企業であり、それはつまり大手である。

資源の価格が長期で低迷するとき、まず零細企業から潰れてゆく。だから下げ相場ではCamecoよりもETFの下げが大きかった。

だが逆に言えば、ウラン価格の長期上げ相場はそうした企業が復活してくる相場であると言える。それは脱炭素が続く限り長期トレンドとして存在し続けるだろう。

結論

以上の考えは、短期および中期の観点を完全に無視したものである。来年に想定されている景気後退相場は、エネルギー資源にとって厳しいものとなるだろう。

だがドラッケンミラー氏の予想では、今後10年は株式市場全体にとって長期トレンドのない相場になる。

そこで彼は例えば市場全体が低調でも高い成長率を保てるような個別の業界に投資している。

だから中期的な相場予想とは別に、ポートフォリオの中に長期的に勝てるものを入れておくことは助けになるはずだ。

また、短期的には7月に発表されたアメリカのコアインフレ率が急低下し、景気後退はまだ来ていないことから、「金利は低下するが経済は悪くない」シナリオがまだ生きており、高金利シナリオで価格が低下していたコモディティには追い風となっている。

以下の記事で説明した通り、それは新たな経済指標1つで消し飛ぶ短期トレンドだが、何処にも行かない相場ではこういうものに賭けていくことも必要だろう。