ガンドラック氏も米国のスタグフレーションを予想

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社のウェブキャストでインフレと景気後退が同時に起こるスタグフレーションの可能性について語っている。

パウエル議長のインフレ退治

ガンドラック氏は2024年前半にアメリカ経済が景気後退入りすると予想している。コロナ後の緩和効果による好景気が終わり始める兆候が見られているからである。

問題は、次に景気後退が起こった時、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長がどうするかである。

パウエル氏自身は、インフレ退治をやり切ると主張している。だが、一部の専門家はパウエル氏の決意を疑っている。

インフレ退治には痛みを伴う。そして痛みを伴うのはインフレが収まった後である。それが2024年に訪れようとしている。

景気後退と金利予想

現在既にアメリカの失業率は上がり始めているが、問題は失業率が更に上がった後のパウエル氏の対応である。

景気後退の前後に金利はどうなるのか。ガンドラック氏は次のように述べている。

景気後退が起これば、通常債券の金利は下がると予想する。

実際、これから景気後退になれば金利はまず下がると予想しているが、景気後退に対する政府の対応が、ここ数十年の景気後退でそう有り続けているように過激なものになるのではないかと考えている。そしてそれがインフレを引き起こす。景気後退と同時にインフレになる。

それはスタグフレーションである。サマーズ氏に続き、ガンドラック氏も同じ予想をしている。

スタグフレーションにおける金融政策

中央銀行はこれから難しい舵取りを強いられる。2024年に景気後退が待ち受けている中、原油価格が上がっている。

インフレ率はそれほど下がらないが失業率が急増する場合、中央銀行は引き締めを続けてインフレ退治を継続するのか、それとも緩和をして失業率を押し下げるのか? しかし緩和をするとインフレは酷くなる。

ガンドラック氏は次のように述べる。

インフレが戻ってくるリスクが間違いなくある。わたしが予想するように債券が上昇(訳注:金利は低下)した後、景気後退が始まる頃に、インフレと景気後退が同時に起こり、金利が上昇するという見慣れない状況を見ることになるかもしれない。政府の政策のお陰だ。

リーマンショック以後の緩和が2018年の金融引き締めで弾けかけたために、アメリカは金融正常化が出来なかった。バブルは継続し、その土壌の上でコロナ後の現金給付を行なったためについに物価が高騰した。

政府の緩和のお陰で状況は段階的に悪くなっている。それでも人々は政府から現金が降ってくることを願う。

もうどうしようもないのである。行き着く所まで行く以外に結末は有り得ない。最終的に紙幣ではものは買えなくなり、為替レートは下がって自国民には厳しいが外国人観光客には優しい国の出来上がりである。

日本もそうなりつつある。日本国民が自分で当選させた政治家のもたらした結末である。