ドラッケンミラー氏、銅への投資を推奨

ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がCNBCのインタビューで銅相場について語っているので紹介したい。

インフレと銅相場

ドラッケンミラー氏は同じインタビューで、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長がインフレを再加速させかかっていることに激怒していた。

パウエル氏の姿勢が十分引き締め的でなかったために、去年の終盤に金利が下がり、金融市場が緩和的になってしまったのである。

アメリカの長期金利は以下のように推移している。

パウエル氏はどうも金融政策を引き締め過ぎて実体経済を痛めてしまうのを恐れているように見える。

インフレ再加速ならコモディティ

もしインフレが再加速すると考えるなら、金属やエネルギー資源、農作物などのコモディティ銘柄は良い投資対象になるだろう。

そこでドラッケンミラー氏が推すのが銅である。ドラッケンミラー氏は次のように言っている。

銅については簡単な話だ。未開発の鉱床が銅を産出できるようになるまで12年かかる。

一方で需要側はEV(電気自動車)やスマートグリッド、データセンター、そして軍事物資などもそうだ。ミサイルには銅が必要だが、世界情勢は緊迫化している。

今後5年か6年の需要と供給の状況は信じられないほどになっている。

需給を重視するドラッケンミラー氏らしい考え方である。

銅は明らかにEV銘柄である。電線など電気を通すために使われる銅は、化石燃料ではなく電力を重視する社会ではより多く使われることになる。

一方で急なEV需要に対応できるほど供給の方は柔軟ではないということである。鉱床を開発するには時間がかかるからである。5年か6年というのは、鉱床が需要に対応できるようになるまでの時間だろう。

銅相場のチャートは次のようになっている。

銅相場

ただ、銅に関して筆者はいくつかドラッケンミラー氏に対して言いたいことがある。まず1つは、銅の需要は電力網以外に中国における建設需要が多く、2月からの銅の上昇も中国株の回復に引っ張られているような気がするのである。

上海総合指数のチャートは次のように2月を底に回復している。

そしてEV需要だが、筆者はむしろ欧米諸国におけるEV需要の減速から、排気ガスの浄化に使われるプラチナを推している。

欧米では充電時間などEVの不便さに消費者が気付き始めており、ハイブリッドへのシフトが始まっている。それが銅需要にどう影響するかである。

また、プラチナは銅と違って貴金属なので、プラチナはインフレによる資金逃避の影響も受けやすい。

プラチナ価格は筆者の推奨記事後に上がっている。チャートは以下である。

結論

ということで、ドラッケンミラー氏のインフレ再加速トレードとしての銅相場を紹介した。

銅に限る必要はないが、パウエル議長のインフレ退治に懸念があるのなら、何らかのコモディティ銘柄を持っておくことは必要だろう。

一方で、景気後退は年内は来ないとは思うが、今年の後半にはアメリカ経済の減速が意識されてもおかしくない。景気後退が来ればコモディティ銘柄は下落を避けられないので、その準備もしておく必要があるだろう。