トランプ大統領: 移民が安全に家に帰れるよう努力したい

トランプ大統領がアメリカの議会で演説(原文英語)を行った。様々なことが話されたが、その中から特に中東の混乱と移民政策について話された部分を取り上げて紹介したい。マスコミが決して報じないトランプ大統領のまともな言葉であり、それらは人々に知られるべきである。

メキシコと中東

アメリカで議論の的になっている移民問題は主に二つあり、一つは隣国メキシコから不法に入国してくる移民、そしてもう一つはヨーロッパで混乱が続いている中東からの移民問題に、アメリカがどう対応するかということである。

メキシコから流入が特に懸念されているのは麻薬密売人である。オバマ政権下の緩い国境のためにアメリカで麻薬を売りたいメキシコ人が国境から流れ込んでおり、特にカリフォルニアなどでは大麻は「Weed」(雑草)の愛称で呼ばれて当たり前のように使用されている。

トランプ大統領はこの状況を憂慮している。特に中毒になった若者に援助の手を差し伸べる必要性を訴えている。彼は単に国境を閉じようとしているわけではなく、アメリカ国民のために必要なことを行おうとしている。彼は次のように述べている。

現在われわれは、アメリカ市民の安全を脅かし、まったく罪のないアメリカ市民を餌食とするマフィアや麻薬密売人、犯罪者を排除しようとしている。

アメリカは他国の国境を守った一方で、自国の国境を開けっ放しにして、誰でも侵入でき、麻薬が流入できる状況を放置してきた。

われわれは麻薬が国内に流入して若者を毒するのを食い止め、酷い中毒に陥ってしまった人々に対するケアを拡大する。

移民問題と国境政策

また、中東からの移民流入については、ヨーロッパにおける惨状をアメリカで再現させないことが重要だと指摘した。ここの読者であれば知っての通り、ヨーロッパの移民問題は悲惨な状況になっている。

トランプ大統領が選出された大きな理由の一つは、こうした無秩序な移民政策にアメリカ市民が反対したことにある。彼の強硬姿勢にはリベラルの人々からの反対があるが、トランプ大統領はそういう人々に対して次のように語りかけた。

アメリカ政府の義務は米国の市民を守ることであり、イスラム過激派から国を守るための強力な施策を取りたいと思っている。

こうした法の執行に反対する議員の皆さんにはこう聞きたい。アメリカが法を維持し、国境を守らなかったために、雇用や収入、そして愛する人を失ったアメリカの家族に対して、あなたはどう言うのですか?

そしてより重要なのは以下の箇所である。

戦争と破壊が世界中で猛威を奮っている。多くの場合、このような人道上の悲劇に対する唯一の解決策は、故郷を追われた人々が安全に家に帰ることが出来る環境を作り出し、状況を立て直すための長い長いプロセスを開始することなのだ。

リベラルの政治家は、難民を迎えるべきだと言いながら、彼らが自分の国に再び住めるようになるために何が出来るかということには同じ程度の興味を示さない。何故か? それは移民を受け入れようとしたドイツのガブリエル副首相の言葉に耳を傾ければ分かることである。

われわれのところにやって来る人々を早急に訓練し、仕事に就かせることができれば、熟練労働者の不足という、わが国経済の未来にとって最大の課題の1つが解決するだろう

要するに労働力、それも安い労働力が欲しいのである。トランプ大統領の国境強化にスターバックスなどの大企業が反対するわけである。そうした欺瞞に頭の足りない人々が賛同する。そしてそうした政治的議論の渦中には、移民本人のことなどは何も考えられていない。

しかしトランプ大統領はそうではない。彼はグローバル企業が始めた奴隷制度である移民政策に反対した上で、国を追われた人々が自分の生活に戻れるようにしたいと言う。口では難民を可哀想だと言いながら、実際には中東に武器を供給し続けたオバマ氏やクリントン氏などのいわゆるリベラルの人々とは違うということである。

結論

トランプ大統領のこういう言葉は大手メディアには取り上げられない。だからわたしが一つ一つ拾って取り上げてゆく。アメリカの大統領を誤解したままでは、世界の情勢について何も理解することが出来ず、メディアや多くの人々のように大統領選挙やイギリスEU離脱などを誤解した失敗を繰り返すだろう。

こうしたまともな言葉がようやく政治家の、しかもアメリカ大統領の口から話され始めるようになった。上記の言葉はすべて、少し前まではレイシズムと見なされていたものである。しかし時代は変わった。物事は確実に良い方向に進み始めている。

また余談だが、各社の報じている通り、今回のトランプ大統領の演説は、普段よりも柔らかなトーンであったと言える。ロイターが娘のイヴァンカ・トランプ氏の影響を指摘しているが、恐らくは正しいのではないかと思う。

以下の記事で報じた選挙戦におけるイヴァンカ氏の演説を想起させるような部分がいくつもあった。選挙が終わった今、彼女の融和的な思想とトランプ氏本人の政治観が上手く組み合わせられようとしている。