世界最大のヘッジファンド、新興国株やゴールドなどドル安銘柄を買い増し

レイ・ダリオ氏率いる世界最大のヘッジファンド、Bridgewaterの9月末時点でのポートフォリオの一部が公開されたので紹介したい。前回のソロス氏に引き続き、機関投資家のポートフォリオを開示するForm 13F特集である。

ダリオ氏の新興国株投資

BridgewaterのForm 13Fについては毎四半期フォローしているが、これまでの流れとしては、米国の金融引き締めが進む中でBridgewaterは新興国株ETFを積極的に買っていた。

ポートフォリオに含まれているのは、Vanguard Emerging Markets ETF (NYSEARCA:VWO)とiShares MSCI Emerging Markets ETF (NYSEARCA:EEM)の2つである。

通常、アメリカの金利が上がれば新興国の通貨や株式など金利の高い資産は売られる傾向にあるが、今回の9月末のポートフォリオでダリオ氏はこれらの新興国株ETFを更に買い増している。

  • Vanguard: 32億ドル – > 38億ドル
  • iShares: 23億ドル -> 29億ドル

ただ、9月以降のドル高に上値を阻まれ、新興国ETFの株価は横ばいで推移している。以下はVanguardのチャートである。

また、ダリオ氏はこれらのポジションよりも桁一つ分少額ではあるが、ゴールドETFやジャンク債ETFなども保有している。少額ポジションはさておいたとしても、開示されたポートフォリオからはダリオ氏が低金利・ドル安方向に賭けているように見える。ゴールドもジャンク債も低金利に恩恵を受ける資産クラスだからである。

ドルは下がるのか?

正直に言えば、筆者の相場観はダリオ氏のほぼ逆と言っても良い。ジャンク債ETFについては空売りを検討しているくらいである。

アメリカの中央銀行は債券の保有量を減らし始めており、その資金流出分の影響は国際市場の何処かに出る必要がある。仮に市場に放出された米国債を他の投資家が買え支えたとしても、その米国債を買った資金は、それまで別の何らかの資産に投資されていたものである。

だから、仮に長期金利が変動しない場合にも影響は何処かに出なければならない。そしてその対象は通常、比較的高い利回りを提供してきたジャンク債や新興国の資産なのである。金融引き締め相場ではハイリスク・ハイリターンの資産から順に売られてゆく。

結論

ダリオ氏はアメリカの金融引き締めをどう考えているのだろうか? 思い返してみれば、彼は9月末にアメリカの金融引き締めは失敗すると発言していた。

この発言とポートフォリオを考慮すると、どうやらダリオ氏はこの辺りが金融引き締め相場のピークで、後は金利低下方向に動くしかないと考えているようである。

しかし、低金利へのシフトは実際にどう起こるというのだろうか? Fed(連邦準備制度)が言い訳に出来るような経済の減速は起こっておらず、筆者の分析によれば、むしろ米国GDPの好調は少なくとも後半年は続く可能性が高いのである。

影響はいずれ出るという点で、筆者とダリオ氏は一致している。しかしこの半年の間、相場はそう簡単に金融緩和の側へと動いてくれるだろうか。読者もそれぞれ自分の意見を考えてみてもらいたい。