ガントラック氏: 2018年、米国株は一度上昇してから大幅に下落する

2018年に入り、様々な投資家が今年の相場予想を表明しているが、先ずはトランプ相場の初期を的確に予想した著名債券投資家ジェフリー・ガントラック氏の米国株予想から紹介しよう。発言は年始のものであり、Reuters(原文英語)やCNBC(原文英語)などが伝えている。

2018年の米国株相場見通し

2018年のガントラック氏の米国株予想は以下の通りである。

アメリカの景気を計測するすべての指標は、景気後退は来ないと主張している。そしてそれは市場がその状態を既に織り込んでいることを意味している。

この理由により、わたしはS&P 500が2018年前半に比較的良い動きを見せた後、下落することを予想している。

2017年、米国株は大きな上昇を見せたが、その理由は主に以下の通りである。

  • トランプ政権の税制改革で法人減税が実現したこと
  • 原油価格上昇によりエネルギー株が上昇したこと
  • 長期金利が上がらなかったこと

この内、税制改革については既に織り込まれていると言ってよい。原油価格については既に上がっておりファンダメンタルズ的な天井が近い。そして金利については、今後次第ということになる。

ガントラック氏は、今年の米国株の動向についてより詳しい分析を行っている。

S&P 500は今年の前半は15%ほどの上昇を見せるかもしれないが、その後下落し、前半の上昇分をすべて吐き出した後、2018年全体ではマイナスのパフォーマンスとなるだろう。

株価下落予想の理由

では、株価は何故下がるのか? 上昇要因を既に織り込んでしまったことも一因だが、以前より金利上昇を予想しているガントラック氏が株価下落の理由にあげるのはやはり長期金利である。

長期金利が2.63%を超えた場合には、金利上昇に歯止めが効かなくなり、そして株式市場は影響を受けることになる。そしておそらくそれが次に実際に起こるシナリオだろう。

因みに長期金利のチャートは以下の通りである。年明けから急上昇しているのが分かる。ガントラック氏が分岐点として挙げる2.63%というポイントに達してはいないが、既にかなり近いと言える。

2017年には長期金利は何とか高騰せずに耐えたが、それでも利上げによって短期金利が上昇しており、そのため長期側の金利にも確実に上昇圧力がかかっている。ガントラック氏はこの状況が続くと主張している。米国株はどうなるだろうか? 全体の予測も大事だが、業種によっても異なるだろう。

投資家が金利上昇相場をどうトレードすべきかという点については、昨年の時点で以下の記事に纏めてある。今からでも遅くないので、是非参考にしてもらいたい。