マイナード氏: 長期金利低下はスローダウンへ

Fed(連邦準備制度)の利上げ及びテーパリング(量的緩和縮小)示唆にもかかわらずアメリカの長期金利は低下するという予想を的中させた債券投資家のスコット・マイナード氏が低下した長期金利についてツイートしているので報じたい。

まずは現状の金利水準について確認しておこう。アメリカの長期金利(10年物国債の金利)は次のように推移している。

マイナード氏は利上げとテーパリングの示唆があった6月16日よりも以前からこの状況を予想していたから、予想としては見事である。

さて、金利がかなり急激に低下した今の状況を見て、マイナード氏は次のようにツイートした。

予想した通り、10年物国債の金利は第1四半期の高値から下落した。ここからは更なる下落がスローダウンするテクニカル的な水準となる。

とりあえずは予想通り金利は十分に落ちたということだろう。これ以上の急激な下落をマイナード氏は予想していない。

一方で金利上昇を予想する投資家には以下のような警句をツイートしている。

金利が上がるというファンダメンタルズ的な議論の根拠は金利が低すぎるというものだ。10年物国債の金利が1.25%に達しつつある今、強気派も弱気派も現在のテクニカル的な水準を考慮して自分の相場観を再評価するのに良いタイミングだろう。

これ以上の金利低下が簡単ではない一方で、金利上昇派も根拠が薄弱だと言いたいのだろう。

金利低下が意味するもの

マイナード氏はそう言うが、一方でファンダメンタルズ的に確かなこともある。金利低下はインフレ要因だということである。長期金利は住宅ローンや自動車ローンの金利に確実に影響を与える。ローン金利が低ければ既に始まっている住宅バブルは更に拡大するだろう。

それでもマイナード氏はやはり金利低下に賭けているらしい。その後のツイートで3月に公表したレポートに言及し、そこに書かれた相場観はまだ有効だから再読するようにと促している。

3月のレポートでマイナード氏は既に金利低下を予言していた。しかもそのレポートでマイナード氏は2022年の金利を-0.5%と予想している。最大でも1%、最低で-2%になるという。この相場観がまだ有効だということだろう。

マイナード氏は、同じことがリーマンショックの後にも起こったと主張している。レポートの中の以下の彼の主張は金利上昇派にとっても一考に値するものだろう。

2008年には(訳注:リーマンショックによる金利急落で)10年物国債の金利は2%の底値を付けた。2010年には景気が回復を始め、金利は4%まで上がったが、結局2012年には1.4%という新たな底値を付けることになった。

現在、リフレ的な圧力が高金利への道筋を作っているという、以前と似たような懸念が市場を支配している。物価はコロナ後の低迷からリバウンドするのは間違いないが、経済の大半に残された過剰生産能力と高い失業率を考えれば、どんな形の金利上昇も一時的なものに終わる可能性が高い。

金利はどうなるだろうか。今後も著名投資家の相場観を報じてゆく。