レイ・ダリオ氏、中国擁護発言で西洋社会から糾弾される

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏がFox Businessのインタビューでこれまでの中国擁護の発言を弁明させられている。

ダリオ氏の中国擁護発言

このインタビューの背景にあるのは恐らく以下の記事で取り上げたインタビューである。

このインタビューでダリオ氏は、アメリカやヨーロッパで見られる中国批判の姿勢をバイアスに基づくものとして批判していた。これが多くの西洋人の癇に障ったらしい。

それでもう一度インタビューに引きずり出されて非難の的になっているわけである。Fox Businessはこの状況を次のように紹介している。

億万長者で中国投資家のレイ・ダリオ氏は先日、中国政府の行いに対して「米国は米国で人権問題を抱えている」「中国共産党の振る舞いは厳格な親のようなもの」などの物議を醸すコメントをして非難を浴びている。

彼をBridgewater創業者ではなく「億万長者で中国投資家」と呼ぶのは悪意があるが、米国では米国が人権問題を抱えていると主張するのは物議を醸す非難に値するコメントらしい。

インタビューでは更に「あなたは中国の人権問題を米国の人権問題と同一視していると考える人もいるがどういう意味でコメントしたのか」と聞かれており、要するに中国がチベットを弾圧しているのとアメリカが中東を侵略しているのとでは比較にならないほど後者の罪は軽く、それを疑問視する人間は人でなしだとアメリカ人は考えているらしい。

このインタビューではダリオ氏はいつになく憔悴した様子で、何度も言葉につまり、見ているのが可哀想なほどだった。彼は次のように述べている。

まず明確にしたいのは、あの時自分は自分の意見を十分に明確にできなかったということだ。人権問題はもちろん大きな問題で、中国とアメリカは同じことをしていると言いたかったわけではなく、これらを同一視するつもりはなかった。

厳格な親について意見を言いたかったのではなく、専制政治と民主政治という2つのやり方の違いを指摘したかった。人生すべてをアメリカで過ごし、人生の半分を中国に通いながら過ごした、中国とアメリカの違いを知るアメリカ人として、2つの国の間に立ち、2つの国の間で戦争が起きることを本当に心配している。

そうした立場にいる人間として相互理解の形成を助けたかったが、伝え方が酷かったと思う。

また、このFox Businessによるインタビューでは、続いて司会者がダリオ氏に「あなたは長らく中国に投資しているが、リスクとリターンについて教えてほしい」と聞かれ、ダリオ氏が中国の経済成長と、アメリカだけでなく世界中に分散投資することの必要性を説明すると、司会者は次のように発言した。

わたしは大金を投資する相手国として中国政府は信頼できるかどうか聞きたかったのだが、あなたは分散について、金をあちこちに散らして身の安全を図ることについて説明しているようだ。

これにはダリオ氏も言葉に詰まりながら笑顔で返すしかなかったが、その姿は痛ましかったと言う他ない。リスクとリターン、つまり金について質問をしたのは司会者の方だ。そしてダリオ氏が金について語っているとすれば、司会者はダリオ氏が中国政府を信頼するのか、つまり自分たちが敵と見なしている相手をダリオ氏も敵とみなすのか、そうではないのか問い詰めたのが透けて見える。

これが大衆と異なる意見を持った人間の欧米における末路である。同調圧力は日本の悪徳で欧米はもっと自由だと日本人は勘違いしているが、実際には欧米の方が酷い。中国政府がSNSを検閲することで人を黙らせるとすれば、欧米はSNSの検閲に加えて更に自分と意見の違うものを非国民と見なすことによって黙らせるのである。

このインタビューについてこれ以上訳す気が失せてしまったが、奇しくもこのインタビュー自体がアメリカと中国における人権侵害が実質同じものであることを証明している。トランプ元大統領の美点の1つは、それに向き合おうとしたことだった。