12月FOMC会合結果: ますます曖昧になるパウエル議長、金利はインフレ次第へ

米国時間12月14日、Fed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合の結果を発表した。政策金利は0.5%上げられ、4.25%となった。いつも通り声明文やパウエル議長の記者会見の内容を見てゆきたい。

利上げ幅縮小

利上げ幅0.5%は事前の市場予想の通りである。0.75%の利上げが4回続いた後、初めての利上げ幅縮小となった。

問題は今後の利上げがどうなるかだが、まずは声明文からである。

声明文だが、今回声明文は前回のものとほとんど変わっていない。変更があったのは1箇所だけで、戦争やそれに関連する出来事がインフレに対する上向きの圧力「を加えている」と書かれていた部分が「に貢献している」と変更されただけで、実質的にはほとんど変更がない声明文となっている。ほぼ無変更の声明文は珍しい。

意味のないドットプロット

ということで、Fedは声明文で沈黙を貫いた。

次に見るべきはFOMC会合参加者の今後の金利見通しをプロットしたドットプロットである。

ドットプロットによれば、利上げで金利が最終的に何処まで上がるか(ターミナルレート)の予想値の平均は5%強となっている。

現在の金利が4.25%であることを考えれば、この発表はまだ利上げ余地があることを示していると言え、これをタカ派だと捉えた市場参加者もいたが、筆者の見解によればこのドットプロットは実質的に意味がない。

何故ならば、5%強という数字は金利先物市場の予想値とほぼ同じだからである。ジェフリー・ガンドラック氏が指摘した通り、Fedはほとんどの項目において単に市場予想を後追いでなぞっているに過ぎない。

ということで、声明文でもドットプロットでもFedはほとんど何も言わなかった。残されているのは会合後のパウエル議長の記者会見の内容だけである。

パウエル議長の記者会見

まず、アメリカのインフレ率は2ヶ月連続で急減速しており、Fedがこれをどう扱うかが注目されていた。

筆者としては、中央銀行にとってこれは扱いの難しい状況だと考えていた。何故ならば、市場が先に金融引き締めの短期終了を織り込んでしまい、長期金利はもう2ヶ月近く下がり続けているからである。

しかし低金利はインフレを呼ぶ。現状の3.5%は高い水準だが、今後CPI(消費者物価指数)が急減速を続けると半年ほどで2.5%近辺まで下がりかねない。そうなればインフレ発生前の金利水準にまで戻ってしまい、その低金利がインフレをぶり返させることになる。

だからパウエル氏としては、市場の低金利・株高の流れに勢いを与えるわけにはいかなかった。それで最近のインフレ急減速については次のように答えている。

インフレが持続的に下向きになると信じるにはまだ多くの証拠を必要とする。

物価上昇圧力が広範囲の財とサービスに及んでいることは証拠付けられたままだ。

これもタカ派的に聞こえる発言だが、パウエル氏としてはこう言う他ないのだという背景を意識すべきだろう。ただ、賃金インフレに触れた次の発言だけは一考の価値がある。

サービスのインフレはそれほど早くは収まらないだろうという期待は妥当である。

だから望ましい金利水準まではまだ利上げを続ける必要があるかもしれない。それがまさにわれわれが高い金利を目標とする理由であり、高金利がその後しばらく続くと考える理由である。

サービスの主な費用は賃金であるため、サービスのインフレは賃金のインフレ次第である。そして賃金のインフレはインフレの中で一番金融引き締めの影響が及びにくい。

だから事実、急減速した最新のインフレ統計の中でもサービスのインフレだけは加速を続けている。これは数ヶ月前からの筆者の予想通りであり、以下の記事に書いた通りである。

だがこうしたまともな議論はパウエル氏自身の頭から出たものではなく、経済学者ラリー・サマーズ氏らの発言をそのまま鵜呑みにしたものだろう。

Fedは政策金利の決定を市場予想の後追いで決めるだけでなく、最近はサマーズ氏やジェフリー・ガンドラック氏らの議論をそのままなぞった言葉が記者会見で聞かれることが多い。パウエル氏はそもそもマクロ経済学が専門ではないので彼には分からない。

結論

結局金利がどうなるのかについてはパウエル氏は次のように言っている。

2月の会合でどうするかは今後のデータ次第だ。

これがパウエル氏の一番言いたかったことだろう。結局は今後発表されるインフレ率次第で決まる。そしてインフレ率の今後がどうなるかと言えば、1970年代のようにインフレ率は上昇した時と同じ速度で下落するのではないかという考えに筆者は傾き始めている。

当時のインフレ率は以下のように推移している。

今のところインフレ減速を一番正確に当てているガンドラック氏のインフレ推移予想は以下の記事に書いてあるので、参考にしてもらいたい。

ドル安、金価格上昇は続くだろう。