ドラッケンミラー氏、米国ハイテク株の買いを継続

機関投資家の米国株買いポジションを開示するForm 13Fが公開された。今回は、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを率いて1992年にポンド空売りを行い、最近ではトランプ相場をいち早く予測したスタンレー・ドラッケンミラー氏のポートフォリオを取り上げたい。

ドラッケンミラー氏のハイテク株買い

ドラッケンミラー氏は、2016年11月に大統領選挙でトランプ氏が勝利すると、誰よりも早くその後の強気相場を予想した投資家である。また、当初値上がりが大きかったインフラ関連株などのトランプ銘柄の上げ幅が一服すると、出遅れていたハイテク株に乗り換えて利益を上げた。

さて、その後どうなっているかと言うと、今回のForm 13Fは2018年6月末時点の開示情報だが、少なくともその時点では彼のハイテク株投資は継続しているようである。以下にポートフォリオに含まれている銘柄を投資金額の大きい順に上げるが、すべてがハイテク株である。

Microsoft、2億9,453万ドル。

Amazon、2億6,390万ドル。

Salesforce、2億3,260万ドル。

Googleの親会社Alphabet、1億9,241万ドル。

Facebook、1億7,839万ドル。

悪い決算で急落したFacebookを除けば、おおむね上昇していると言える。金額が大きいポジションほどパフォーマンスが良いという辺りも流石ドラッケンミラー氏である。

結論

因みに、ハイテク株に強気の人物はドラッケンミラー氏だけではない。ジェイコブ・ロスチャイルド氏も、市場全体には弱気だとしながらも、銘柄を選別しての投資は可能だとして、ハイテク株を推奨していた。

しかしハイテク株への投資を去年から行っているドラッケンミラー氏の先見の明は流石である。利益も大きく出ていることだろう。

しかしながら、問題は出口戦略である。新興国を既に暴落させたアメリカの金融引き締めは、先進国の金融市場への扉を叩き始めている。米国株の暴落は日本株よりも後だろうが、それでもそれほど長い時間は持たないと筆者は踏んでいる。

ただ、Form 13Fは買いポジションだけを開示するものであるので、ドラッケンミラー氏が同時にどの程度株式を空売りしているのかということは不明である。既にヘッジをしているかもしれないし、天井で売り抜けようと考えているのかもしれない。しかし、少なくともハイテク株が他のセクターよりも有望だと考えていることは確かだろう。

ドラッケンミラー氏はこれらのポジションを適切に利益確定出来るだろうか? トランプ相場以降は恐るべきパフォーマンスを出している彼だが、長年勤めたクォンタム・ファンドを首になった理由は、2000年のドットコム・バブルから逃げ遅れ、膨大な損失を出したからである。彼は同じ失敗を避けられるだろうか。

因みに、ドラッケンミラー氏は長期的にはグローバル経済に弱気の見方を示している。

彼は今後どのようなトレードをするだろうか? 引き続きフォローしてゆきたい。