3月15日FOMC会合の米国利上げは織り込み済み

3月14-15日、アメリカの金融政策を担うFed(連邦準備制度)は政策決定会合であるFOMC会合を開き、政策金利に関する決定を行おうとしている。

2015年12月、2016年12月に続き、リーマンショック以来3回目となる利上げが行われるかどうかが注目されている。結果の発表は日本時間では16日となるが、この会合での利上げは市場ではほぼ織り込まれていると言える。金利先物市場では利上げの確率は以下のように織り込まれている。

  • 利上げあり: 90.8%
  • 利上げなし: 9.2%

つまり、ほとんどの確率でアメリカの政策金利は0.75%-1.00%のレンジへと利上げされると予想されていることになる。逆に利上げがない場合はサプライズとなるが、Fedがそのようなサプライズを行う動機がない以上、利上げは行われるだろうと予想している。

金融市場への影響は?

利上げがあった場合の株価や為替への影響だが、ほとんど織り込まれているということは、利上げ自体の影響はほとんど無風になる可能性が高いということである。株価や為替は利上げを織り込んだ上で現在の水準になっているからである。

一方で、影響があるとすれば今回の利上げ自体ではなく、声明文やイエレン議長の会見で今後の利上げについての発表がなされる場合だろう。

先ず、今年中の利上げについては今回を含め3回行うというのがFedの意思表示であり、これまで伝えてきたように市場もそれを見込んでいるため、イエレン議長がそれにわざわざ異を唱えることはないだろうと予想する。注目すべきであるとすれば2018年内の利上げ回数に言及がある場合だろう。

2018年も米国利上げは続くのか?

先ず、そもそも利上げ3回という現在の状況は、トランプ相場以前に多くのヘッジファンドが株式相場崩壊の臨界点としていた水準である。著名投資家のジム・ロジャーズ氏は以前以下のように述べていた。

一度目の利上げは大した意味を持たないが、三度目の利上げからは心配しなければならなくなるだろう。三度か四度利上げが行われれば、通常株式市場は終わりだ。心配と覚悟をしながら今後の動向を見守ることだ。

ここの読者はご存知の通り、わたしも臨界点は4度目前後だろうということを表明していた。しかしトランプ氏の勝利後、わたしを含めほぼすべての投資家がこの見方を撤回した。

これはトランプ政権の経済政策によって量的緩和バブルの崩壊懸念が無くなったからではない。利上げの悪影響が経済政策の好影響によって相殺されるため、米国株の利上げ許容度が上がっただけの話である。問題は、それが利上げ何回分上がったのかということであり、イエレン議長にそこまで利上げを続ける意思があるのかということである。

著名債券投資家のガントラック氏などは、一旦利上げ基調に入ったFedは何かが破綻するまで利上げを続けると言っている。

わたしの印象では、イエレン議長はむしろ慎重に事を進める人物であり、投資家が懸念すべきは利上げが行き過ぎるリスクよりも、利下げすべき時に利下げを躊躇うリスクだろう。

それが実際にリーマン・ショックの時に起こったことである。2008年の危機直前のイエレン氏(当時はサンフランシスコ連銀総裁)の対応については、以下の記事で説明している。

今回の会合で2018年の利上げについて具体的な話が出るにはまだ早いだろうが、投資家は徐々に来年の金融政策について考え始めるべき時期である。会合の結果やイエレン議長の記者会見については会合後に解説するつもりである。