3月のFOMC会合結果は利上げ決定、声明文とドットプロットはややタカ派もドルが下がった理由

米国時間3月15日、米国の金融政策を司るFed(連邦準備制度)はFOMC会合で2008年以来3度目となる利上げを決定した。利上げ自体は事前の予想通りであり、これについては報じてある。

ただ、その後の市場の動きについては少し説明が必要だろうと思うので、この記事ではその点について述べてゆきたい。

声明文とドットプロットはややタカ派

先ず、事前の記事でも述べていた通り、今回の利上げ決定自体は織り込み済みのため問題にはならない。注目されるのは、今後の利上げについてFedが何を言おうとしたかである。

結果と同時に発表される声明文に関して言えば、ほとんど重要な変化はなかったものの、GDPについて述べた部分で、「企業の投資は弱いままである」という表現が「企業の投資はいくらか強まった」という文に置き換えられた箇所は、アメリカ経済に自信を示したと言えるだろう。GDPについては以下の記事で報じている。

また、FOMC会合参加者の今後の政策金利の推移予想を示したいわゆる「ドットプロット」も多少タカ派だったと言える。今年の利上げは今回を含めて3回というのが事前の共通見解であり、今回のドットプロットもその見解を踏襲している。

変化したのは2018年の利上げ回数であり、前回のドットプロットでは2回が参加メンバーの共通見解だったのが、今回は3回と1回分増えている。

つまり、声明文とドットプロットを総合すれば、今回のFOMC会合は「ややタカ派」であったと結論出来る。

では何故ドルが下落したのか?

ここで疑問となるのが、では何故ドルは下落したのかということである。利上げ傾向がより一層強まるのであれば、長期金利は上昇し、ドルも上昇すべきなのではないか? しかし実際の長期金利の動きは以下の通りである。

ドル円の動きは以下の通りである。

この下落の大部分は声明文が発表された時に下がったものであり、イエレン議長の記者会見の際のものではない。

したがって、文字通りに受け取ればややタカ派と解釈できる結果を市場が何故このような受け取り方をしたのかだが、これについては著名債券投資家のガントラック氏が、CNBCのインタビュー(原文英語)で以下のように説明している。

Fedの決定がどうであったとしても、米国株と債券は両方上昇することになる。

債券高と言っても長期金利は精々0.3%ほど下がる程度のことだろうが、しかしこれはデフレや景気後退を意味するものではない。長期金利が1.32%から2.64%まで倍になった急な相場が調整するだけのことだ。

ガントラック氏の言う通り、会合のあと債券は上昇(金利は下落)し、米国株は上昇している。

トランプ氏が大統領選挙で勝利して以来、多くのファンドマネージャーが金利上昇に賭けるポジションを持っており、あまりに大勢が同じ方向に賭けているため、ある程度の調整がこの辺りで必要となると予想したのだろう。

長期金利の2.6%が短期的に行き過ぎというのは、以前わたしが株価崩壊の臨界点と呼んだ2.7%-3.0%の水準が近いからである。

これは昨年12月の記事だが、これまで長期金利はこの水準を避ける形で推移を続けている。

ちなみに上記のガントラック氏のインタビューはFOMC会合「直前」のものである。直後ではない。最近のガントラック氏は恐ろしいほど冴えている。