ジム・ロジャーズ氏: 台湾をめぐって戦争になればどの国に逃げれば良いか

アメリカの下院議長ナンシー・ペロシ氏の台湾訪問によって中国が台湾を包囲しながら軍事演習を続けている問題で、ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを設立したジム・ロジャーズ氏が世界的な戦争になった場合の居住地について語っている。

ペロシ氏の台湾訪問

ペロシ氏の台湾訪問については既に報じているので詳細はそちらに譲りたい。

ロジャーズ氏はこの件について次のように語っている。

ナンシー・ペロシ氏は台湾に行ったが、自分に注目を集めたい以外に何か理由があったわけではない。

ペロシ氏は既にアメリカに帰って平然としているが、台湾はいまだに中国軍に囲まれている。2016年にアメリカがウクライナ政府に干渉したことが2022年の戦争に繋がったように、アメリカの政治家が来るところには常に同じ状況が再現される。

彼女は自分の行ないでこのような状況に陥った台湾に対して何も思わないのだろうか。

また、訪韓したペロシ氏との面会を拒否した韓国の尹大統領について次のように述べている。

韓国の大統領は彼女に会うことを拒否した。間違いなくかなりの勇気と精神の強さが必要だっただろう。戦争屋と面会しなかったことについて尹大統領に拍手を贈りたい。

戦争になればどの国が良いか

さて、このインタビューでは続いてロジャーズ氏はどの都市がこれから熱いかと聞かれている。

大英帝国におけるロンドン、アメリカの覇権時代にはニューヨーク、次はどうかと聞かれているから、司会者は中国が覇権国家になるかという質問をしたかったのだろう。

だがロジャーズ氏は意外な答えを返している。

戦争になればコロンビアが良いのではないか。アンデス山脈とか。誰も山岳部で戦争をしたくない。

コロンビアは他の場所よりましかもしれない。今のところ誰もアンチコロンビアではなさそうだし。次に戦争が起こった時にはありうる選択肢だ。

ロジャーズ氏は明らかに台湾やウクライナなどにおける東西の対立激化を念頭に置いている。レイ・ダリオ氏の文脈で見れば、アメリカが(ペロシ氏のように)覇権国家として好き勝手できていた時代から、アメリカの力が弱まり他の国が同じように好き勝手し始める時代に変わりつつあるということだろうか。

そこでロジャーズ氏は、戦争に巻き込まれないためには何処に住むかという観点で答えているのである。

ロジャーズ氏はそのまま次のように別の場所も検討する。

北アメリカは難しいだろう。バンクーバーなどの名前が挙がるかもしれないが、アメリカが戦争になれば北アメリカにいる誰もが巻き込まれることになる。

また、ロジャーズ氏が居住しているシンガポールはどうかと聞かれて、彼は次のように答えている。

アジアで戦争になるのだからシンガポールは駄目だ。シンガポールはアジアで最重要の港だ。

南アメリカあたりで戦争になるならシンガポールは大丈夫だろうが。だが残念ながら南アメリカでは戦争になりそうにない。アジアの戦争になるだろう。

ではやはりコロンビアが最良なのだろうか。しかしロジャーズ氏はその選択肢にも問題があると言う。

だが問題がある。1938年にある男がパリにいて、世界中が大変になると予想した。だから彼は戦争を逃れるためにヨーロッパから脱出して南の島に移住した。

ちなみに彼が見つけた島の名前はガダルカナル島だ。

読者もご存じだろうが、ガダルカナル島はオーストラリアの北東に浮かぶソロモン諸島に属する小さな島であり、太平洋戦争で日本軍と連合軍の激戦地となった場所である。

ロジャーズ氏はこう続ける。

彼は予想の天才だった。だが天才であることは時々問題を引き起こす。たまに大問題となる。

だから良い場所を皆に教えられるかどうかは正直分からない。それは次のガダルカナル島になるかもしれない。

戦争屋は勝手に戦争をしていれば良いが、それに巻き込まれないようにすることもなかなか難しいのである。