ガンドラック氏: アメリカの利下げはいつあるか

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCで、長らく利上げを続けているアメリカのFed(連邦準備制度)の利下げ転換について語っている。

アメリカの利下げ

債券の専門家であるガンドラック氏は、去年秋からのアメリカのインフレ率下落をもっとも的確に予想的中させた人物である。

インフレ低下を予想してきたのだから、追加利上げが不要と考えるのも当然だろう。

利上げがこれで打ち止めであれば、次に考えるべきは利下げである。Fedの次の動きが利上げではなくて利下げであれば、それはいつになるのか。ガンドラック氏は次のように述べている。

最初の利下げは来年だろう。

最終的には2年物国債の金利が下がって利下げを促すことになる。

2年物国債の金利は今後2年の政策金利の市場予想を織り込んで推移する。だから金融市場がまず利下げを予想して、Fedがそれに従うという予想である。

ガンドラック氏は政策金利は実質的に2年物国債の金利が決めているので中央銀行は不要であるという持論の持ち主である。

利下げとインフレ動向

また、ガンドラック氏は利下げの理由として次のようにも述べている。

低インフレも理由として大きい。

CPIは2%台まで落ちてくるだろう。今後数ヶ月でそこまで行くと思う。

だがインフレ統計を反映して2年物国債が推移するので、結局は同じことかもしれない。

あるいは、今年前半のシリコンバレー銀行の破綻のような突発的なイベントが発生して、市場が一気にリスクオフになるということもあるだろう。

リーマンショックにおいても、リーマンブラザーズの破綻の何ヶ月も前にベアスターンズが破綻しているのである。

筆者はそちらもメインシナリオとして頭に入れているが、それが起こるタイミングを予想するのは至難の業である。現状のマネーサプライの減り方を考慮すれば遅くとも来年前半までであり、来年に利下げというガンドラック氏の予想とも合致するが、個人的には今年後半の可能性も十分あると考えておくべきだと思う。

ガンドラック氏は今後の金融政策について「データ次第」を繰り返したパウエル議長について次のように言っている。

データ次第、データ次第、データ次第。だがデータは更なる利上げを支持しないだろう。

われわれの見ているデータはすべてインフレ低下トレンドが継続することを示している。パウエル氏はそれに乗りたくない。それが起きなかったとき、彼はまずい立場になるからだ。だがそれは起きると思う。

ガンドラック氏はひたすらインフレ低下予想である。そう予想していない人物も居る。

ガンドラック氏も「原油価格が200ドルとかにならなければ」という注釈を付けているので、ポジャール氏の予想とも奇妙に呼応している。だがガンドラック氏がここまでインフレ率の推移を一番当てている人物の予想である以上、彼の低インフレ予想には耳を傾けざるを得ないだろう。