イギリスは内閣改造でEU懐疑派議員を外務大臣に採用へ

15日、イギリスのキャメロン首相は内閣改造を発表した。外務大臣、国防大臣、教育大臣、保健大臣、環境大臣などの人事変更が行われているが、この中で重要なのは外務大臣に就任したフィリップ・ハモンド氏である。

以前保守党の党首も務めたウィリアム・ヘイグ氏に代わって任命されたハモンド氏はEUの統合深化に懐疑的な姿勢で知られており、テレグラフ誌によるインタビュー(英語)において、ほかのEU諸国との交渉への意気込みを語っている。インタビュー映像からいくつか発言を引用する。

  • 「わたしの仕事は他のEU加盟国との再交渉を行うことだ」
  • 「イギリスは孤立していない。EUには改革が必要だと認識している加盟国は多くある。とりわけEU内でユーロ圏と非ユーロ圏がともに歩める道を探すことが重要だ」

ちなみに、イギリスがEUの規制に反対する理由は南欧諸国の事情とは異なっており、それが欧州議会選挙で他国との足並みが揃わなかった理由でもある。イギリスは主にロンドンの金融業界への規制を嫌っており、緊縮財政の緩和を求めるイタリアやスペインとは別々の路線で各国と交渉を進めることになるだろう。

イギリスでは来年5月に総選挙が行われ、保守党が勝利した場合にはEU離脱の是非を問う国民投票が行われることになっている。経済的な観点からは誰も望んでいないイギリスのEU離脱だが、来年5月までのイギリスの外交努力が、ドイツのEU統合に対する姿勢にどのような影響を及ぼすかは注目に値する。