グリフィン氏: 人工知能に株価の予測はできない

世界有数のヘッジファンドであるCitadel創業者のケン・グリフィン氏がCNBCのインタビューでAIとNVIDIAについて語っている。

株高とAIブーム

株式市場は好調だが、その一部はAIブームに牽引されていると言って良い。米国市場の中でも大きく上がっている銘柄の多くはAI関連株だからである。

その中でもどの銘柄が注目かと言えば、グリフィン氏は次のように語っている。

わたしが言えるのは、NVIDIAがこのトレンドの首位を走っているということだけだ。

AIブームの中で一番大事な材料の1つをNVIDIAが売っているということは明らかだ。

NVIDIAはAIが行なう複雑な計算のために必要なGPUを製造する会社である。

GPUがなければAIを動かすことができないので、AIを使ってどのようなサービスが流行るのかということを考える以前に、AIが流行るのであればNVIDIAの製品が必要となるということである。

NVIDIAはここでも去年から推していた銘柄で、株価は次のようになっている。

グリフィン氏は次のように続けている。

NVIDIAは素晴らしい仕事をしている。

今の状況はカルフォルニアのゴールドラッシュのようなもので、つるはしを売った人々は大金を稼いだ。

19世紀にアメリカでゴールドラッシュが起こったとき、一番確実に儲かったのは鉱夫ではなく、鉱夫相手に商売した人々だった。

鉱夫は掘ってもゴールドが得られるとは限らないが、鉱夫の採掘が当たろうが外れようがつるはしや鉱夫の衣食住の場所は必要になる。

実際、ドナルド・トランプ氏の祖父であるフレデリック・トランプ氏はゴールドラッシュ時に鉱夫相手の飲食店を経営して財産を築いている。NVIDIAの状況はそうした商売に似ている。

AIブームのリスク

一方で、AIブーム全般にはリスクがあるとグリフィン氏は言う。彼は次のように述べている。

AIがもたらす生産性向上が市場の期待しているほどになるかどうかは明らかではない。

何故か? グリフィン氏は次のように続ける。

一部の分野では期待は実現される。

だが人々が期待しているある種の生産性上昇は12ヶ月や24ヶ月や36ヶ月では起こりそうにないもので、実現まで近いとは言えない。

グリフィン氏が言いたいのは、人々がAIに対して抱いている一部の期待は、AIを理解していない現実離れしたものだということである。

それは筆者が以下の記事で述べたことと同じである。

AIでできること

どういうことか? グリフィン氏は次のように説明している。

AIを使ってできるのはソフトウェア開発であったり、メモや他の書類の作成であったり、データの整理であったりで、そうした分野では興味深い使い方ができる。

だが他の人々が話しているような夢のような使い方ができるとは思わない。

例えば彼らは人工知能がどの株を買うべきかを教えてくれるという幻想を持っている。だがそれはただの幻想だ。本当にただの幻想だ。

AIは一見、人間と同じように喋ることができる。しかし単に人間のように喋ることができるという理由で、人々はAIが人間のように(あるいは人間以上に)賢く考えることができると勝手に勘違いしている。

だがそれは事実ではない。AIが人間と同じように喋るように見えるのは、単にAIの優れた成果の1つが言語処理だったという理由に過ぎない。

そして言語処理ができるからと言って、人間のように考えられるわけではない。

グリフィン氏は、AIは投資銘柄を教えられるほど賢くはないのかと聞かれ、次のように答えている。

答えはNoだ。何故ならば、人工知能は賢くないからだ。

それは単にインターネット上にある情報を集めてくることに非常に長けているだけだ。それが人工知能が得意としていることだ。

結論

AIが一見あらゆる質問に答えているように見えるのは、AIにはある程度の言語処理能力とインターネットへのアクセスがあるからだ。

つまり、AIはググっているに過ぎない。あまりに多くの人々がここを誤解してAIに対してまったく間違った幻想を抱いている。

だが、どの銘柄を買えば投資で利益を得られるのか、ググった結果を鵜呑みにするほど愚かな投資家はそれほどいないだろう。しかし同じインターネット上の情報をAIが喋ると一部の人々には神託のように聞こえてしまうのである。

AIは検索エンジンの未来であると言える。この新たな検索エンジンは検索してくれるだけでなくある程度の情報処理もやってくれる。

ある種の情報をインターネットから集めてきてエクセルに纏めておいてくれと頼んでおけばやってくれるだろう。それはAIがホワイトカラー殺しと呼ばれる理由である。

AIはウエイターやカウンセラーや投資家を置き換えることは出来ないが、ひたすらにエクセルやパワーポイントをやらされている投資銀行やコンサルの平社員たちをすべて置き換えてしまうかもしれない。

だがAIブームは少なくとも大きく誤解されている。その誤解は株式市場にも織り込まれていて、それはいつかの段階で大きく修正されることになるだろう。

AI銘柄も明暗が分かれる時が来る。NVIDIAをかなり前から買い続けているスタンレー・ドラッケンミラー氏の記事も参考にしてもらいたい。