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2015年にユーロ危機再発の兆候あり

ユーロの下げ方がちょっと尋常ではない。ECB(欧州中央銀行)がついに量的緩和を決定したことで材料出尽くしとなり、ユーロドルは1.12前後の水準をうろうろしていたが、2月の雇用統計がFed(連邦準備制度)の6月の利上げを支持する内容となったことでドル高が再び進行、ユーロドルはついに1.10の壁を下回り、放物線を描きながら下落している。

ユーロに関しては、これまで一貫して下がり過ぎを主張してきた。上記の記事の通り、マネタリーベースで見れば、ユーロドルの適正値は量的緩和を完全に織り込んだ状態で1.15程度であり、量的緩和が開始されたばかりの3月に1.10を下回るのは相当の下落速度である。米国の利上げについても、他の通貨に比べユーロだけ織り込みが早過ぎる。ここまで考えてようやく気付いたことがある。 続きを読む 2015年にユーロ危機再発の兆候あり

ECBの量的緩和までの経緯と、金融市場の反応を2014年1月から総ざらいする

2015年1月22日にECB(欧州中央銀行)が量的緩和を発表したことにより、ユーロ圏の金融市場は新たな緩和相場で賑わっている。個人投資家にはユーロ圏の量的緩和が最近のニュースだと考えている人もいるかもしれないが、機関投資家のなかでは2013年頃から既に話題になっていた事柄であり、その頃からフォローしてきた身としては、ようやく実現したという感想である。

事実、市場が量的緩和を織り込み始めたのは2014年の1月であり、そこから債券、株式、為替など、色々なものが順番に上昇・下落してきた。金融緩和が起こるときに市場はどう反応してゆくのかという説明も兼ねて、この1年間の相場の動きを時系列順に見ていきたい。 続きを読む ECBの量的緩和までの経緯と、金融市場の反応を2014年1月から総ざらいする

ECBが量的緩和を発表、買うべき銘柄は何か?

1月22日にECB(欧州中央銀行)がマネタリーベースを2倍にする量的緩和を発表した。詳細は上記の記事で見ることができるが、とりあえずは欧州市場のみならず米国市場でも、株式・債券ともに好感した形となった。市場の上昇が短期的にどれだけ続くかは分からないが、分かっていることはユーロ圏の低金利が続くということ、そしてその間ユーロ安・ドル高が維持されるということである。

大手の不動産株などは、既にこれらの要素を織り込み始めている。長らく紹介してきたパリの不動産会社Gecina (EURONEXT:GFC)は、量的緩和を受けて連日上昇し、紹介時の株価€97から17%上昇した。€118程度まで上がれば徐々に利益を確定していって良いだろう。

このように既に上がってしまった銘柄もあるが、不動産株や輸出株などの中には、これからでも買える銘柄がまだ存在する。今日はそのような銘柄の中から2つを紹介したい。 続きを読む ECBが量的緩和を発表、買うべき銘柄は何か?

ECBが月間600億ユーロの量的緩和を発表、マネタリーベースを2倍に拡大へ

1月22日、ECB(欧州中央銀行)は月間600億ユーロの量的緩和を発表した。債券の買い入れは3月から開始され、少なくとも2016年の9月まで継続される。市場が長らく期待していた措置であるが、実際の規模が判明した今、ユーロや金利、不動産など、金融市場がどうなってゆくのかを考察したい。先ずは再度、マネタリーベースの確認からである。

Screen Shot 2015-01-22 at 02.56.14 続きを読む ECBが月間600億ユーロの量的緩和を発表、マネタリーベースを2倍に拡大へ

ユーロは既に2年分の量的緩和を織り込んだ

本日(1月22日)の決定会合にて、ECB(欧州中央銀行)が量的緩和を発表すると市場では噂されており、発表後のユーロの動向を気にしている投資家も多いだろう。結論から言えば、ユーロは既に2年分の量的緩和を既に織り込んでいる。下記に説明しよう。

ECBが量的緩和をするということについては、去年の5月のGecina紹介記事から何度も記事にしてきたが、上記の通り、ユーロの売りに関する記事はかなり以前のものであり、個人的にはユーロはもっと緩やかに緩和を織り込んでゆくと予想していた。ドイツ国債や不動産株の買いなど、ユーロの空売りのほかに量的緩和に賭けたポジションが多くあったために、通貨トレードで無理をしなかったためだが、それでもECBが量的緩和を始める前にEUR/USDが1.15に達するとは思っていなかった。

では、この1.15という水準がどの程度のものなのかというと、先ずは米国とユーロ圏のマネタリーベースのグラフを見てもらいたい。

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ユーロ圏のマネタリーベースは、ドラギ総裁がハト派の発言
を初めて以来、実は全く増えていない。米国のマネタリーベースも、量的緩和を中止して以来ほとんど動いていないため、両通貨のマネタリーベースの比率は、下のグラフにあるように、3.30前後で足踏みをしている。グラフは米欧のマネタリーベース比率と為替レートを表したものである。

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ECBはこの水準から量的緩和をするわけだが、市場で噂されている量的緩和の規模は月間500億ユーロ、年間で6,000億ユーロである。現在のユーロ圏のマネタリーベースは1兆2000億ユーロほどであるから、2年でマネタリーベースが2倍となる、日銀の最初の緩和と同じ規模の量的緩和ということになる。

マネタリーベースが2倍となれば、米国のユーロ圏に対するマネタリーベースの比率は半分となり、1.6-1.7辺りを目指してゆくということになる。これは、グラフで言えば2012年の8月前後の水準であり、当時一番ユーロが下がった時でも為替レートは1.22-1.24程度であった。

確かに、回復基調にある米国の経済に比べ、ユーロ圏の経済はかなり弱々しく、今年の米国の利上げというドル買い要因もあるにせよ、それらをすべて考慮しても、現在の1.15という為替レートは、2年分の量的緩和をすべて織り込んだ上での適正値ということになる。

もし、量的緩和が発表されれば更なるユーロ安になると予想している投資家がいるとすれば、少なくともファンダメンタルズではかなり安すぎる水準まで売り込まれていることは認識するべきだろう。弱いユーロ圏から強い米国へ資本逃避が起きているという需給上の要因を推測することはできるが、ユーロの空売り残高もかなり溜まっているだろうから、2年間の量的緩和のなかで、少なくとも短期的なリバウンドはあると見るべきだろうと思う。

いずれにせよ、テクニカル要因による短期的な投機をしないグローバル・マクロの投資家にとっては、ユーロの空売りは既に終わった取引である。欧州の不動産株や各国(特に米国)の金利への影響などを注視しながら、決定会合の結果を見守りたい。

ECB量的緩和前夜: 欧州各国要人の発言まとめ

ユーロ圏のデフレ回避のため、1月22日の政策決定会合でECB(欧州中央銀行)が量的緩和の実施を決定するという思惑から、欧州各国の要人たちが自分の国に有利になるように様々な発言をしている。ギリシャやアイルランドなど財政の危うい国々は、量的緩和の規模が大きくなるように、そして信頼の低い自分たちの国の債券もドイツ国債同様に買い入れられるように、また、買い入れのリスクが自分たちに降りかからないようにと一斉に声を上げている。例えばギリシャからはこうである。

ギリシャ・ハルドゥベリス財務相ロイターより)

  • 「量的緩和の規模が5500億ユーロに設定されれば、ギリシャには159億ユーロの恩恵がもたらされる」
  • 「ギリシャ国債の格付けなどの要因により、ギリシャが受ける恩恵の規模が減らされることはあってはならない」

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スイスフラン上限撤廃に関するジョルダン中銀総裁の言い分

1月15日のユーロに対するスイスフラン上限撤廃から数日が経ち、当初差し障りの無いコメントしか出していなかったスイス国立銀行(スイスの中央銀行)のジョルダン総裁は徐々に心境を話し始めている。

スイスフランの突然の上限撤廃については上記記事で解説したが、2011年9月より続けてきた無制限介入(言い換えれば、下がり続けるユーロを高値で買うという約束)を突如撤回した影響は大きく、スイスフランは大きく上昇し、スイスの基幹産業である輸出業や観光業は早くも悲鳴を上げている。スイスの株式市場は連日下落し、大手時計メーカーのSwatchは21%、食品大手のNestleは12%、それぞれ値を崩している。 続きを読む スイスフラン上限撤廃に関するジョルダン中銀総裁の言い分

スイスフランが1日で30%急騰、欧州相場で何かが起こる前触れか

これには驚いた。1月15日、スイス国立銀行(スイスの中央銀行)が対ユーロの上限レートを撤廃したことにより、スイスフランはユーロに対して一時30%上昇した。EUR/CHFのチャートはここで見ることができるが、1日であまりに動いたためチャートの体をなしていない。要するにスイス国立銀行が自国の通貨安介入に失敗したため、スイスフランが急上昇したということなのだが、これまでの経緯も含めて下記に説明してゆく。これはユーロや欧州株、ひいては世界の金融市場にとって重要な意味をもつ出来事である。 続きを読む スイスフランが1日で30%急騰、欧州相場で何かが起こる前触れか

年明けからの市場急落、何を買い下がるべきか?

年明けから不安定な相場が続いており、S&P 500は節目の2,000を割れ、ドル円は116円台で推移している。原油は一時45ドルを下回った。何よりも注目すべきは、ボラティリティがあらゆる市場で上昇していることである。

上記の記事で述べた通り、とりわけ株式市場はFRB(連邦準備制度)の量的緩和の終了と利上げという未曾有の金融引き締めをほとんど織り込まずにここまで来ている。織り込みが遅れている要因には日欧の金融緩和があるが、今年中に実際に利上げが始まる可能性が高いことを考慮すると、低金利により債券から株式へと移っていた資金の株式市場からの逆流は、今年か来年には起こる可能性が高い。 続きを読む 年明けからの市場急落、何を買い下がるべきか?

原油安はいつまで続くのか? 原油安をトレードする5つの方法

原油安に関する詳細な記事を書こうと考えていたら、ロイターにほとんど同じ内容の記事が載ったので、詳細はそちらに譲り、原油安に関する要点と、そして投資家はどのようにトレードすべきかについて書きたいと思う。

記事にもある通り、底値がいくらかという問題はさておき、原油安がどれくらい続くのかという問題は予測が比較的容易である。サウジアラビアがシェールオイル産業の一掃に本気である限り、その目的が達成されるまでは減産を行うことはないだろう。したがって、米国のシェール産業が実際に深刻なダメージを受けるまで、原油価格が反発する可能性は低い。 続きを読む 原油安はいつまで続くのか? 原油安をトレードする5つの方法