景気後退にもかかわらずオフィス空室率は良好、企業の設備投資が個人消費の衰えを補う

前回の記事では消費増税後の日本の個人消費の衰えを確認したが、GDPの内訳において住宅投資がマイナス成長であるにもかかわらず、三鬼商事の発表するオフィスレポートでは、オフィスの空室率は10月に至るまでいまだ改善傾向にあることが示されている。

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これは企業の設備投資がいまだマイナス成長に陥っていないこと、そして量的緩和による資金流入と金利の低下が不動産市場に好影響をもたらしていることを示唆している。つまりは今後、日本の不動産株は個人消費の落ち込みによるマイナスの影響と、量的緩和・設備投資によるプラスの影響の板挟みとなって動くことになる。

一つ言えるのは、住宅ではなく商用施設を扱う不動産会社に投資すべきだということだろう。個人消費の落ち込みについては前回の記事で既に述べている。事務所を扱う不動産会社については、空室率が下落している間は買いで良いだろうが、それでもこれまでのように盲目的に買いと言える状況ではなくなった。

不動産株に投資する投資家にとってもう一つ重要な指標は、GDPの設備投資の項目である。設備投資がマイナスに落ち込んだとき、個人消費と設備投資が負の影響の側に周り、不動産株は完全に量的緩和頼みの状況に陥ることになる。そうなれば適切な空売りとの組み合わせなしに不動産株に投資できる状況ではなくなるだろう。投資家はこれらの指標に注意しつつ状況を見守る必要がある。