世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自分自身をAI化したサービス「デジタル・レイ」を発表している。LinkedInのブログでダリオ氏がそのことに触れているので紹介したい。
「デジタル・レイ」誕生
新技術にいつも熱心なダリオ氏らしい試みだが、ダリオ氏がついに自分のAIを発表した。公式サイトが公開されているが、ダリオ氏(のAI)と好きなだけ話したり議論したり質問したりできるらしい。
ダリオ氏は、読者からの質問に答えているブログ記事においてデジタル・レイについて聞かれ、次のように述べている。
デジタル・レイはよく訓練されている。過去35年、わたしは何千もの状況に対応するための何千ものプリンシプルを書いてきたし、その知識がしっかりと整理されていて、デジタル・レイの生み出す質問と回答の質は担保されている。
ダリオ氏は著書も『世界秩序の変化に対処するための原則』を含め何冊も書いているし、インタビューにも無数に答えているから、理論上デジタル・レイは著書やインタビューで既にダリオ氏が答えている内容から抜き出すことで、大抵の質問には答えることができるはずだ。
一方で、ダリオ氏がこれまで答えたことのないような質問をされた時にデジタル・レイがどう答えるかは興味深い。これからの利用者のフィードバックを待ちたいところである。
デジタル・レイのベータテスト
とはいえ、多くの人にとってデジタル・レイが便利であることには変わりないだろう。ダリオ氏は次のように述べている。
すべての人の質問にいつでも答えられるのだから、デジタル・レイはとても便利だと確信している。今やっているようにわたし自身が他の人の質問に答えられる量には限りがあるが、デジタル・レイがあればそのような制限はなくなる。
だがそもそも、デジタル・レイはまだサービス開始前のベータテストの段階である。ベータテストとは、限られた人数の利用者に、サービスがまだ完成していないことを知らせた上で、実際に利用してみて完成に協力してくれる人を募ることである。
ベータテストへの参加は公式サイトから申し込みができるらしい。ダリオ氏も次のように言っている。
デジタル・レイを完成させるために協力してくれる数千人の人ともに、デジタル・レイのベータテストを行う予定だ。興味のある人はhttps://www.digitalray.ai/loginから申し込むことができる。
デジタル・レイは、あなたが思っているよりも完成度が高い。デジタル・レイはあなたと考えを共有したり、会話したり、もしあなたが望むなら、デジタル・レイはあなたの情報に基づいてあなたに特化した存在になることもできる。
英語以外の言語に対応しているのかは定かではないが、興味のある人は申し込んでみても良いのではないか。
筆者のような人間にはダリオ氏のこれまでの発言をコピーするだけのAIよりも、本人の思考の凝縮された『世界秩序の変化に対処するための原則』のような著書を読んだ方が早いと思えてしまうのだが、Z世代の若者たちにとってはこういうAIが勉強のためのツールになってゆくのだろう。