引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。
今回はAI関連株の動向予想について語っている部分を紹介したい。
米国株のAI銘柄
ガンドラック氏は、米国株をあまり好んでいない。その理由については以下の記事で解説している。
だが、米国株全体の先行きはさておき、米国株には今非常に魅力的な強みがある。AIである。
筆者も、米国株全体は好んでいないが、AI銘柄については去年はNVIDIA、今年はLumentumで大いに儲けさせてもらった。
では、ガンドラック氏はAI銘柄についてはどう考えているのか。司会者に聞かれ、ガンドラック氏は少なくとも自分好みではないと返答している。
新技術による株価上昇
何故か? ガンドラック氏は技術革新で起こる株式市場の上昇について次のように述べている。
新しい技術が現れるとき、株価は空高く上がるが、極めて素早く織り込まれる。
わたしがよく言うのは電気が発明されたときの例えだ。1900年には人々は電気が世界を変えると気づき始めた。
それは正しかった。それで電気関連の株式はバブルになったが、そのバブルは1911年に終わり、その時電気はまだ広くは普及していなかった。
電気の革命はその時点ですべて織り込まれてしまった。
電気の普及は、トマス・エジソン氏による1879年の白色電球の発明が契機となった。そこから徐々に世界に広まり、ガンドラック氏によれば1900年には人々の話題に登り始めた。
AIは恐らく今、それくらいの発達段階にあるのではないか。筆者の見解では、AIはまだまだ使われるべき場所で十分に使われているとは思えない。
普通の会社の業務でも、もっとAIを使える場所はあるはずだ。だがAIの使用は主に若者世代で広がっている一方で、ビジネス界の中心である中高年の間ではむしろまだ利用者は少数派だろう。
だがそれは、ガンドラック氏の指摘を考慮すれば、必ずしも株価が今後も上がり続けることを意味しないのである。
普及する前に暴落する可能性
ガンドラック氏の指摘は、AI相場に賭けている投資家にとっても重要なものだと言える。
何故ならば、革新的な技術による上げ相場は、ガンドラック氏の言うように普及より前に暴落することの方がむしろ普通だからである。
例えばドットコムバブルと呼ばれるインターネットのバブルがいつ崩壊したか、ここの読者の多くは知っているだろうが、よく考えてみれば驚きである。それは2000年である。

2000年と言えば、1998年に生まれたばかりのGoogleの検索エンジンはまだほとんど誰も知らず、1995年に生まれたAmazon.comはまだ普及していなかったし、InstagramはおろかFacebookさえ2004年になるまで登場しなかった。
だがこのインターネットというものが世界を変えるという話は株式市場ではまたたく間に広がり、2000年までに大相場を演じて、そこから崩壊していったのである。
まだ世界中で使われてもいなかったAmazon.comの株価は113ドルから6ドルにまで暴落したが、そこからもう一度当時の高値を回復するには何年もかかったのである。
結論
ガンドラック氏の言及している電気の事例や、2000年のドットコムバブルの事例は、AI相場に強気な人も頭に入れておいた方が良い知識である。
筆者もAI相場に投資することにはまったく反対しないし、むしろ去年も今年もそれで儲けているが、AI相場がAIの普及よりも前に崩壊する可能性はかなり高い(それが株式市場の動きとして普通である)と考えている。
ガンドラック氏は次のように纏めている。
AIは本物で、革命は進行中で、世界を変えるだろうが、株式市場は未来を織り込むことに関して驚くほど効率的で、しばしばやり過ぎる。
ドットコムバブルについては、スタンレー・ドラッケンミラー氏がジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを辞める羽目になった話が興味深いので、そちらも参考にしてもらいたい。