チューダー・ジョーンズ氏: トランプ政権の利下げで米国株高騰へ、ゴールドとビットコインとハイテク株を買え

引き続き、Tudor Investment創業者のポール・チューダー・ジョーンズ氏の、CNBCによるインタビューである。

金融緩和でバブルへ

アメリカの利下げが来る。トランプ大統領は強く金融緩和を望んでおり、来年5月に退任するFed(連邦準備制度)のジェローム・パウエル議長の後任に、金融緩和に積極的な人物を据えようとしている。

株式市場はどうなるか。前回の記事でジョーンズ氏は、米国株は1999年から2000年にかけてのドットコムバブルのように、ここから大きく上がると予想していた。

では、具体的にどのような銘柄が上がるのか。ジョーンズ氏は次のように言っている。

市場が言っているのは、これがインフレ相場だということだ。

これまでの最大の勝者はゴールドで、46%か47%上がった。ビットコインは、分からないが50%か60%か?

アメリカのインフレ率は上がっており、トランプ大統領はその状態で更に金融緩和をしようとしている。

要するに、これは過剰な金融緩和の相場なのである。だからドルから逃避した資金がゴールドに流入している。

だが、ビットコインに関してジョーンズ氏は確認せずに言っているが、実はビットコインは31%で、ゴールドに負けているのである。この件についてはジェフリー・ガンドラック氏が以下の記事で指摘している。

何故そうなっているのかは興味深い話なのだが、米国株に話を戻そう。

米国株のどの銘柄か

「株価が上昇する」と言っておきながらまずゴールドとビットコインに話が行くあたり、今の相場というものを物語っている。要するに紙幣印刷による紙幣の価値下落の相場なのである。

米国株は、買うとすればどういう銘柄を買えば良いのか。ジョーンズ氏は次のように言っている。

モルガン・スタンレーがあらゆるミーム株を集めた、個人投資家の資金流入バスケットというのを作っているが、それは67%か68%上昇している。

だから個人投資家の資金が流入している。暗号通貨、デジタルゴールドだ。

ゴールドは主に各国の中央銀行などの機関投資家が買っている。ビットコインとミーム株は個人投資家が買っている。

上昇率の差はその違いなのかもしれない。だが、いずれにしてもトレンドは明確だ。ジョーンズ氏は次のように言っている。

これらをポートフォリオに組み込むことは、どれも悪くないだろう。

結論

ジョーンズ氏は、ミーム株は流石に攻めすぎだと思ったのか、最終的には次のように言っている。

わたしなら、ゴールドと暗号通貨と恐らくNasdaqの組み合わせを買うだろう。

これまで一番速い馬が、これからもそうなる可能性が高い。

ジョーンズ氏は今の相場がドットコムバブルに似たものになると言っていたから、Microsoftなどの株価が何処までも上がり続けた当時の様子を思い描いているのだろう。

ちなみに、今の状況は財政赤字と貿易赤字という点で1980年代のレーガノミクスの時代に似ているが、レーガノミクス相場が最終的に行き着いた1987年のブラックマンデーを事前に予想したのがまさにジョーンズ氏なのである。

ジョーンズ氏は『マーケットの魔術師』におけるインタビューでレーガノミクスの財政赤字とブラックマンデーの関係についてこう語っている。

レーガン大統領は赤字削減を約束することで国民を欺き、米国市場最大のバブルに資金を注ぎ続けた。

財政赤字をなかなか削減しようとしないトランプ政権の現状と似てはいないだろうか?

その結末は、レーガノミクスやドットコムバブルのような株価上昇とその後の株価崩壊なのだろうか。楽しみに待ちたいものである。


マーケットの魔術師