ガンドラック氏: アメリカの債務問題が解決されるまでゴールドは売らない

DoubleLine Capital創業者のジェフリー・ガンドラック氏が自社の配信動画でゴールドとビットコインについて語っている。

インフレとコモディティ市場

ガンドラック氏はアメリカのインフレの問題に触れているが、これまでアメリカのインフレ率がなんとか2%台に収まってきた理由として、エネルギー資源や金属、農作物などのコモディティ銘柄がそもそもほとんど動いていないからだと言っている。

例えば原油価格は次のように推移している。

原油価格は、上がっていないどころかむしろ下がっている。前回までの記事でアメリカのインフレ問題については語ってきたが、逆に言えば原油相場がどうなるかが今後のアメリカのインフレ率に大きな影響を及ぼすとは言えるだろう。

さて、他のコモディティ銘柄はどうか。ガンドラック氏は次のように語っている。

エネルギー資源はほとんど動いていない。農作物もほとんど動いていない。上がっているのはゴールドとシルバーだ。

金価格の高騰

ここの読者には周知の事実だが、金価格が高騰している。

ガンドラック氏は次のように述べている。

ゴールドについては数年前に買い推奨をしたが、それから2倍になっている。

金価格は次のように推移している。

ガンドラック氏はこれまでずっとゴールドの買い推奨をしてきた。ガンドラック氏は3,000ドルまでの上昇を的中させた後、4,000ドルまで上がると宣言しており、金価格は少しずつその水準に近づいている。

ゴールドとビットコイン

理由は、特に海外の中央銀行が外貨準備にドルの保有を減らし、ゴールドに移行しているからである。

また、金利上昇による米国債の利払い急増で、アメリカの債務問題が懸念されているということもある。

そういう状況でドルや米国債からゴールドへと資金が流出しているのだが、他にその恩恵を受けているのがビットコインなどの暗号通貨である。

ガンドラック氏は次のように言っている。

ビットコインの今年のパフォーマンスは良い。19%上昇している。

ビットコイン価格は次のように推移している。

ビットコインも着実に上がっている。年始から19%の上昇はなかなかである。

だが、ここでガンドラック氏は恐らく多くの人の直感に反する事実を1つ次のように指摘している。

だがゴールドの上昇率はビットコインの2倍だ。

これはどうだろうか? 意外ではないか? ビットコインは上下が激しいから、下がる時はゴールドより下がるが、上がる時はゴールドより上がるというのが一般的なイメージだ。だが実際には、ビットコインはゴールドの上昇に負けている。

ガンドラック氏は次のように言っている。

だからわたしには、ゴールドの方が永久的な投資先として多くの人の中で定着しているように見える。

この問題についてはちょっと考える必要があるだろう。

ゴールドをいつ売るのか

さて、ではゴールドはどこまで上がるのか? ガンドラック氏は次のように言っている。

アメリカの政府債務の状況や、アメリカからの資金流出の状況が完全に別のものに変わるまでは、ゴールドを保有し続けるだろう。

状況はアメリカに不利だ。そしてそれはこれから数年のトレンドになるだろう。

アメリカの抱えている問題については、以下の記事が参考になるだろう。

また、Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は、アメリカからの資金流出が長期トレンドであると、新著『How Countries Go Broke』(仮訳:なぜ国家は破綻するのか)で詳しく予想している。

日本語版はないが、英語が読める人はこちらも参考にしてもらいたい。


How Countries Go Broke