DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社配信動画でドルからの資金流出について語っている。
ドルからの資金流出
ガンドラック氏は、ドルそのものに限らず、ドル建て資産全般に弱気である。例えば、ガンドラック氏は米国株自体が下落するとは予想していないのだが、米国株は他の国の株式に負け続けると予想している。
そして2025年は実際にそういう年になっている。欧州株も日本株も米国株より上がっている。
その理由は、コロナ後の金利上昇で米国債の利払いがアメリカの財政赤字の半分ほどまでに急増していることから、アメリカの債務問題が懸念されており、トランプ政権がその債務問題を金融緩和で解決すると予想されているからである。
債務問題は通貨安で解決される
日本で既にそうなっているように、政府債務の問題は紙幣の価値下落で解決される。だから、アメリカ人であるガンドラック氏は、ドルの下落から身を守るため次のように言っている。
2025年、DoubleLine Capitalは16年の歴史の中で初めて新興国の債券をその国の通貨建てで買った。
そしてこの投資はまだ始まったばかりだと考えている。
逆に言えば、ガンドラック氏はドルの下落は始まったばかりだと言っている。
これまでガンドラック氏は、新興国の債券を買う場合には為替リスクをヘッジしていた。他の国の通貨よりもドルの方が強い時代が続いたために、為替リスクを取るとドルをベースに考えているアメリカ人にとっては為替差損が出てしまうからである。
だが、ガンドラック氏はドルが強い時代は終わったと考えている。コロナ後に米国債の利払いが急増したことで、アメリカも日本のように通貨を犠牲にして国債を買い支えなければならなくなっているからである。
アメリカ人の資産防衛
ガンドラック氏によれば、今やアメリカ人にとってドルの下落に備えることは急務となっている。ガンドラック氏は次のように述べている。
この投資アイデアについては多くの問い合わせが来ている。多くの人がドルの価値下落から資産を守ろうとしているということだろう。
ガンドラック氏の顧客になるようなアメリカの富裕層は、明らかにドルの下落に備えようとしている。
それだけではない。ガンドラック氏は、アメリカでは大手スーパーのTargetで現物のゴールドが販売されていることにもよく言及している。
少しずつ人々が紙幣の価値下落に気づき始めている。
結論
ガンドラック氏は次のように纏めている。
人々は安全資産を買おうとしている。リスクを取る人々は暗号資産を買っている。他の人々はゴールドを買っている。
同じような考えをするアメリカの機関投資家は多い。
そしてガンドラック氏は、ゴールドに対して出遅れているシルバーについても次のように語っている。
資産の少ない人はシルバーを好む。上がる時には大きく上がる資産だからだ。それが今年起こった。
シルバーもようやく上がり始めている。銀相場については以下の記事で詳しく書いているのでそちらも参考にしてもらいたい。