「米国の株式市場」カテゴリーアーカイブ

2015年世界の金融市場: 米国株、欧州株、日本株、金、原油

2015年ももう後半であり、金融市場は金や原油などコモディティ価格の下落、米国の利上げ、中国株の暴落など、様々なトレンドが入り混じる様相を呈している。

これまでの単なる量的緩和相場とは異なる状況であり、単純に中央銀行に従っていれば利益が出るという状況ではない。そこで、ここで一度、世界の金融市場を俯瞰してみたい。個別銘柄よりもマクロ的分析が必要な場面なのである。

米国株

先ず、マクロで見れば米国株は買う理由のない資産クラスである。量的緩和が終わり、利上げを控えていることで、株式から債券への資金流出が懸念されている。ファンダメンタルズで見ればバブルではないが、割高であることは確かである。

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ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

ギリシャが債権団の要求を飲むかどうかについて国民投票を行うと発表したことを受け、ギリシャのデフォルトが現実的となり、日本市場ではリスクオフの円高・株安となっているが、先ずドル円については120円を下回れば買いである。

ギ リシャの経済規模はあまりに小さく、ユーロ圏の1.7%であり、遠く離れた日本の金融市場は勿論、ユーロドルやユーロ圏経済のファンダメンタルズ自体に影響を与えることはできない。したがって、ドル円に関する見方は変わらず、以前書いた通り、115-120での買いは長期的に報われる可能性があるというこ とである。 続きを読む ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

米国株急落を考える: 買い下がるべき銘柄、金への資本逃避など

3月の末となったが、米国株が急落している。25日の株式市場でNasdaqは2%以上の下げ幅となり、S&P 500の-1.46%を上回った。26日には日本の株式市場にも波及し、日経平均は1.39%の下落、弱気相場はヨーロッパ市場にも持ち越され、特にこれまで堅調だったドイツ株の下げ幅が大きい。

2015年の金融市場についてはこれまで書いてきた通りであり、大局的な見方に一切変更はないが、為替や商品先物の動きなど、今回の急落で気になる点についていくつか書いておきたい。 続きを読む 米国株急落を考える: 買い下がるべき銘柄、金への資本逃避など

2015年の相場はブラックマンデーに似ているか?

さて、前回はブラックマンデーに至るまでの政治的・経済的背景を説明したので、今回は2015年の相場がブラックマンデー当時に似ているのかどうかについて検証したい。 続きを読む 2015年の相場はブラックマンデーに似ているか?

2015年、米国利上げまでの投資戦略

Fed(連邦準備制度)による 量的緩和が2014年に終了し、2015年の中旬には利上げを控えているにもかかわらず、米国の株式市場は連日史上最高値付近で推移している。サウジアラビアが最近の原油価格の小反発を歓迎する意向を表明したことから、60ドル前後の原油価格が受け入れられたと考え、米国の個人消費の回復はますます揺るがないものになりつつある。

しかし、それでも利上げは歴史上何度も金融市場の暴落を引き起こしてきたイベントであり、米国株を保有する投資家は心の何処かで自分の買い持ちを心配している。

株式市場はこのまま利上げまで問題なく上昇するのだろうか? これは買い方も売り方もどちらも抱えている疑問であり、それぞれの答えがあるだろうが、先ずはおよそ考えられるシナリオを列挙してみたい。以下の3つである。 続きを読む 2015年、米国利上げまでの投資戦略

Form 13F: ソロス氏、アインホーン氏は米国株空売りを拡大か

毎四半期恒例、SEC(米国証券取引委員会)によりForm 13Fが公開され、機関投資家の2014年末時点での米国株のロングポジションおよびオプションの買いポジションが公開された。

Form 13Fは1ヶ月半遅れでのポジションの公開であり、かつ空売りや先物のポジションは公開されないので、これだけを見てどのファンドが米国株を買っているとか売っているとか言えるものではないのだが、同業者であれば、現物の買いポジションを見るだけでも、そのポートフォリオに秘められた考えのいくつかは読み取れるものであり、その投資原則が短期的に変わるものでなければ、そのファンドがどの銘柄を今も持っているか持っていないかは大体分かるものである。

さて、2014年の4Qであるが、Form 13F以外の情報も含めて主だったものを纏めてみたい。 続きを読む Form 13F: ソロス氏、アインホーン氏は米国株空売りを拡大か

グローバル・マクロのポートフォリオ構成比率公開、2015年2月

ユーロ圏の量的緩和もようやく通過し、市場は面白い材料に欠けているというのは事実であると思うので、この辺りでポートフォリオの構成比率の公開をしてみたい。ここまでは個別銘柄の紹介などをやってきたが、いつも言及している例の記事で書いたリスク要因によって、ここから先は個別銘柄の選択よりもポートフォリオ全体の構成が重要だからである。

銘柄の保有比率は毎日微妙に調整しているため、リアルタイムの厳密な数字ではなく、2月に入ってからの平均値をおおまかに示したものだが、ポートフォリオの方針は読み取ることができると思う。先ずは銘柄の構成比率からである。 続きを読む グローバル・マクロのポートフォリオ構成比率公開、2015年2月

2015年、金融市場は米国の量的緩和終了を織り込んでいない

これについては一度しっかりと書いておく必要がある。

2008年のサブプライム・ローン危機の後、Fed(連邦準備制度)は3度にわたり債券の買い入れを行い、量的緩和を行ってきたが、この政策は2014年10月をもって終了し、現在の米国は2015年中に行われるとされる利上げを待っている状況にある。

2013年5月にバーナンキ前議長がテーパリング(緩和縮小)に初めて言及したとき、米国債は売られ、米国株も急落したものだったが、その後も株式市場は上昇し、ECB(欧州中央銀行)が量的緩和を開始した今では、米国の金利までもが低位で安定した動きを見せている。

市場は量的緩和の終了と利上げを景気回復のサインと見なし、量的緩和の終了どころか利上げまでも問題なく織り込んだかのような見方が通説となりつつあるが、それは誤りである。本来これは、中銀の支えがあるからと積極的に押し目を買ってきた市場参加者自身が一番よく知っているはずであるのだが、今後の金融市場の動きも含め、以下に説明したい。 続きを読む 2015年、金融市場は米国の量的緩和終了を織り込んでいない

2015年、ソロスなどヘッジファンドは空売りを始めている

2015年に入り、株式市場はやや不安定な動きを続けているが、米国の景気回復と日欧の金融緩和により米国市場はいまだ市場最高値の水準にあり、また原油安も個人消費を促進することから、誰も米国の景気回復を疑っていない。しかし1月時点でS&P 500のP/E(株価収益率)は19台後半に達しており、個別株の観点からもかなり割高なものが多数を占めてきている。

何よりも注意すべきは、米国の量的緩和の終了と利上げという未曾有の金融引き締めがいまだ織り込まれていないことである。投資家は、量的緩和による低金利によって債券から株式への資金流入が起こったことを完全に忘れている。これは即ち、金利が上昇を始めれば資金が株式から債券へと流出することを意味している。米国におけるこの逆流は日欧の量的緩和によって時期が遅れる可能性があるが、いずれにせよ2015年と2016年がもっとも警戒すべき年なのである。

そこで、賢明なヘッジファンド・マネージャーの多くは、ロングポジション(買い持ち)に加えて、ヘッジのために割高な銘柄の空売りを始めている。彼らも米国の景気回復を疑っているわけではないため、全面的に弱気の投資家はいないが、流動性縮小の局面にどういうことが起こりうるかを知っている賢明な投資家は、このような場面で単純な買い持ちをしないのである。そこで本記事では、ジョージ・ソロス氏やデイヴィッド・アインホーン氏など、著名投資家が空売りしている銘柄をレビューする。 続きを読む 2015年、ソロスなどヘッジファンドは空売りを始めている

量的緩和相場は数年の熱狂のあと世界的なバブル崩壊で終わる

世界的な株高、債券高が進行している。FRBによる量的緩和の役割は日銀、ECB(欧州中央銀行)へと引き継がれ、FRBが緩和縮小を示唆したときの市場の動揺は消え失せた。この株高、債券高の傾向は今後も続くと思われるが、しかしこの量的緩和相場が行き着く先は何処であるのか、そしてそこへ辿り着くまでに市場はどのような道筋を辿るのかということを、今のうちに考えておくことは必要である。 続きを読む 量的緩和相場は数年の熱狂のあと世界的なバブル崩壊で終わる