Von Greyerzのエゴン・フォン・グライアーツ氏が、自社の動画配信で銀相場について語っている。
貴金属の価格高騰
ここでは去年から貴金属に関する記事を大量生産してきた。ドルからの資金逃避でゴールドやシルバーが上がると予想したからである。
中でもフォン・グライアーツ氏はここで紹介する著名投資家の中で誰よりもゴールドを推してきた。
そしてゴールドは文句なしに上がった。金価格のチャートは次のように推移している。

もはや理論的に説明できる価格ではないが、売り時にはまだまだほど遠いと以下の記事に書いておいた。
出遅れのシルバー
一方で、シルバーは長らく冴えなかった。凄まじい上がり方をしているゴールドに比べて冴えないだけで、別に悪いパフォーマンスではなかったのだが、市場最高値をどんどん更新するゴールドに比べ、過去の高値さえ超えていないシルバーは、長期的に見ても出遅れ銘柄だった。
だが、先進国の債務問題や地政学的な懸念から、紙幣から現物資産への逃避が起きるのであれば、その恩恵を受けるのは絶対にゴールドだけではないはずだ。
だからここではゴールドを去年から取り上げるとともに、シルバーの割安さを強調してきた。そして遂にシルバーが動き始めた。銀価格は次のように推移している。

銀価格の推移予想
そして筆者の予想は、これは始まりに過ぎないというものだ。フォン・グライアーツ氏も同意見らしく、次のように言っている。
現在、シルバーはゴールドに比べて大きく過小評価されている。
金価格は銀価格に比べて極めて高くなっており、それは今後数年で銀価格が金価格よりも速く上昇する可能性が高いことを意味している。
去年からゴールドだけが大きく上がっているため、ゴールドに対してシルバーが極めて割安な状態にある。
これが解消されるには、ゴールドが下がるか、シルバーが上がるしかないが、ゴールドが下がることを筆者は当然想定していない。ゴールドの売り時について書いたこの記事をもう一度置いておこう。それはまだかなり遠い。
であれば、やはりシルバーがゴールドに追いつくしかないのである。
史上最高値更新へ
銀価格を考える上で、まず目安になるのが50ドルである。リーマンショック後の量的緩和相場と、1970年代の物価高騰相場の2回、シルバーはその水準まで上がっているからである。

過去の高値などとうの昔に置き去りにしているゴールドに比べ、シルバーはまだ過去の高値さえ超えていない。しかもこの過去の高値はインフレを考慮しない名目値だから、インフレを考慮すれば過去の高値よりもかなり割安な位置にシルバーは居るのである。
だからフォン・グライアーツ氏も次のように言っている。
シルバーは50ドルまで上がるだろうが、そこにそれほど留まらず、すぐにもっと上がって行くだろう。
資産の20%から30%をシルバーにすることを推奨する。それはこれまでわれわれが推奨してきた比率よりも大きいが、今は絶好の機会だ。
結論
去年から今年の相場は極めて簡単である。AIと、ドルからの資金逃避に賭けるだけでかなり大きな利益を得ることができた。AIに関しては去年のNVIDIAと今年のLumentum、そしてドルからの逃避に関してはゴールドとシルバーである。
特にドルからの資金逃避については、トランプ大統領が中央銀行に金融緩和を強要しようとしているこれからが本番である。シルバーの上昇は明らかにその動きの一部だろう。
ドルに関するシナリオについては、Bridgewaterのレイ・ダリオ氏の新著『How Countries Go Broke』(仮訳:なぜ国家は破綻するのか)にすべてが書いてある。
日本語版はないが、英語が読める人は必読の本である。