ゴールドを推奨するフォン・グライアーツ氏、すべての通貨を酷評

引き続き、Von Greyerzのエゴン・フォン・グライアーツ氏の自社配信動画である。

今回は、通貨の価値下落について語っている部分を紹介したい。

インフレと貴金属

前回の記事では、フォン・グライアーツ氏はインフレについて語っていた。インフレというのはものの価値が上がることではなく、通貨の価値が下がることである。

だから紙幣を持っている人はインフレから身を守る必要がある。だが、前回の記事でフォン・グライアーツ氏は、そもそもそのインフレ率の統計が操作されているという話をしていた。

インフレが3%だという政府の公式発表を見て「ああ、紙幣の価値下落は3%なのか」と思っていたら、政府の公式発表が意図的に小さい数字になっていて、実は本当のインフレ率は10%だったという話である。

ではどうすれば良いのか。話は簡単である。価値の下落するものを保有しなければ良いのである。だからフォン・グライアーツ氏は紙幣から貴金属に資金を逃避させることを薦めている。

通貨の価値下落

そもそも、通貨の価値が下落するということは今に始まった話ではない。

フォン・グライアーツ氏は次のように言っている。

1971年から通貨の価値はゴールドに対して99%下がった。つまり、1%になった。

1970年代の物価高騰時代の始めには、金価格は1オンス当たり35ドルだった。今の金価格は3,800ドルである。

つまり金価格は100倍以上になったのだが、それは逆に言えばドルの価値がゴールドに対し1%以下になったというだけのことだ。

そしてフォン・グライアーツ氏はそれがこれからも続くと考えている。彼は次のように続けている。

だがその1%というのは、今の100%で、またそこから下がるわけだ。

金価格の推移予想

何故そうなるのか? 金融市場には永遠に上がり続けるものなどない。だが貴金属の価格は別である。何故か? 永遠に上がり続けるものなどないが、永遠に下がり続けるものならあるからである。

そして、これまでもそうだったように、通貨の価値が(金融緩和という政府の支援のお陰で)永遠に下がり続けるなら、その通貨で計った貴金属やその他実際に価値のあるものの価格は、永遠に上がり続けるだろう。

だが、フォン・グライアーツ氏は次のように言っている。

金価格を暴落する通貨を基準に計ることは無意味だ。鶏とか牛とか、もっと価値のあるもので計った方が良い。

わたしはもう何年も前に金価格の予想を出すのを止めた。意味がないからだ。最終的に無価値になるものでゴールドの価値を計ってどうする?

また、ドルやユーロや円が信頼できないなら、他に信頼できる通貨はあるかという議論については次のように言っている。

わたしの意見では、どの通貨が一番最初に底に達するかを予想するのは時間の無駄だ。

結論

重要なことは1つだけだ。歴史上を通して、政府は通貨の価値を常に長期的に下落させてきたということである。

だが、思い出されるのはジム・ロジャーズ氏の次の言葉である。

歴史から学べることは、人は歴史から学ばないということだ。

それで未だに人々は紙幣を持っているわけである。

アダム・スミス氏は、人々が通貨の価値下落に気づかない理由をあの有名な『国富論』で分かりやすく解説している。

人々がインデックス投資などの下らないことを勉強する前に『国富論』を少しでも読んでいれば、インフレに資産を奪われることもなかっただろう。

だが正しい知識に目を向ける人はほとんどいない。だから紙幣が歴史上最大のバブルになっているのである。


国富論