フォン・グライアーツ氏: 銀価格は50ドルのラインを超えれば急上昇してゆく

Von Greyerzのエゴン・フォン・グライアーツ氏が自社配信動画でシルバーについて語っている。

貴金属の価格上昇

フォン・グライアーツ氏は、ここの読者は知っての通り、長らくゴールドを推奨してきた。以下は去年初夏の記事である。

そしてゴールドは、周知の通りここ2年で目まぐるしい上昇を見せてきた。金価格は次のように推移している。

フォン・グライアーツ氏の予想はまさに正しかったわけである。

だが一方で、シルバーはずっと出遅れていた。それに対し、フォン・グライアーツ氏も筆者も、シルバーはいずれゴールドの上昇相場に追いつくと言い続けてきた。

そしてシルバーも、今年の半ばからようやく上がり始めたわけである。銀価格は次のように推移している。

ゴールドとシルバー

ゴールドとシルバーの大幅上昇を予想的中させたフォン・グライアーツ氏は、ゴールドとシルバーの関係について次のように言っている。

シルバーは常に貧者のゴールドと呼ばれてきた。今の価格で言えば、シルバーの価格はゴールドの80分の1だからだ。

シルバーはゴールドよりも安価である。フォン・グライアーツ氏はこの価格の関係について次のように述べている。

だが、シルバーはすぐに貧者のゴールドとは呼ばれなくなるだろう。銀価格はこれから今より遥かに高い価格へと急上昇する状態にあるからだ。

銀価格の長期的動向

フォン・グライアーツ氏が見ているのは、銀価格の長期的動向である。銀価格のチャートを長期で見ると次のようになっている。

見て分かるように、シルバーには3つの大きな上げ相場がある。1つは1970年代の物価高騰時代の銀価格高騰であり、この時代については以下の記事で詳しく説明している。

次のピークは2008年のリーマンショック後にアメリカが量的緩和を開始したことによる貴金属バブルであり、そして最後が今のコロナ後のインフレによる貴金属の上げ相場である。

そしてそれぞれの上げ相場において、銀価格はおおよそ50ドル付近に達している。

この長期動向について、フォン・グライアーツ氏は次のように言っている。

今の銀価格は50ドルだが、銀価格のチャートを見ると、金価格が850ドルだった1980年に銀価格は50ドルで、金価格が1920ドルだった2011年にも50ドルだったし、今では金価格が4,000ドルになっている一方で銀価格は50ドルだ。

ゴールドがどんどん上がっている一方で、シルバーの高値はずっと50ドルだと言いたいのである。

銀価格の推移予想

ゴールドは過去の高値などとうの昔に更新している。逆にシルバーはまだ過去の高値と同じような水準にいるわけである。

ここで問題となるのは、シルバーはこれからも過去の高値に引っ張られるのか、あるいはそれともゴールドのように過去の高値を大きく超えてゆくのかである。

フォン・グライアーツ氏は次のように予想している。

銀価格がこの水準でずっと推移することはないだろう。50ドルのラインは抵抗線ではない。これは発射台だ。

銀価格がひとたびこの水準をしっかり上回れば、銀価格は短期間の内に60ドル、70ドル、80ドルに向かって上がってゆくだろう。

結論

フォン・グライアーツ氏は先月の記事で、銀価格は今の50ドルから600ドル以上に上がる可能性があると指摘している。

わたしは何年も前に金価格は10,000ドルまで上がると予想した。それはゴールドにとって最低限のラインだ。

そしてゴールドとシルバーの価格の比が歴史的な平均である15倍まで戻れば、銀価格は666ドルになる。

フォン・グライアーツ氏はまずゴールドの推移予想を立てた上で、それに対して銀価格が金価格の何倍になるかを考え、666ドルという予想を立てている。

いずれにせよ、すべてはアメリカが金融緩和によって債務問題を解決するためにドルを犠牲にしようとしているからである。

レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で解説している基軸通貨の長期的な凋落が始まっている。


世界秩序の変化に対処するための原則