アメリカの財務長官で、ジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを運用していたヘッジファンドマネージャーでもあるスコット・ベッセント氏が、FOX NEWSのインタビューで、Fed(連邦準備制度)の利下げと、来年5月に任期が切れるパウエル議長の後任について語っている。
パウエル議長の任期終了
Fedのパウエル議長は長らく利下げを停止していたが、今年の9月に利下げを再開した。10月にも利下げをして、その次の12月のFOMC会合において利下げがどうなるかが話題となっている。
だが、トランプ大統領はFedにずっと前から利下げを要求し続けてきた。
パウエル議長はトランプ氏に比べると利下げに消極的だと言えるが、いずれにしてもパウエル氏の任期は来年5月で終わる。
トランプ大統領が選ぶ新議長
金融市場にとっての問題は、新議長がどういう金融政策をやる人物になるかということである。
サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン氏との対談の席で、トランプ大統領は次のように言っていた。
新議長はベッセント氏が良かったのだが、彼は議長をやりたがらないらしい。断られた。
そしてベッセント氏に向かって次のように続けている。
財務長官の方が良いんだろう?
ベッセント氏は次のように答えている。
財務長官の方が断然良いです。
新議長は誰か
ベッセント氏は、今回のインタビューで改めて次のように言っている。
3億4,000万人のアメリカ人に対して、わたしはFed議長にはならないと断言できる。
そして、冗談ではあるが次のように続けている。
トランプ大統領は良いFed議長になるだろう。聞く耳を持っていて、金融政策を多くの人よりもよく理解している。
実際には、ベッセント氏は新議長の選定を続けている。ベッセント氏は次のように言っている。
新議長の候補は11人から5人になった。
感謝祭の後、12月の半ばにトランプ大統領は最終的に絞られた3人の候補に会うだろう。スムーズに行けば、クリスマスの前には答えが決まる。
タイムスケジュールはこうだ。今は11月で、12月には新議長が決まる。実際に就任するのは来年の5月だが、12月から既に金融市場は新議長の金融政策を織り込むだろう。
現状、Fedの今後の利下げを織り込んで推移する2年物米国債の金利は次のように推移している。

現在、政策金利は3.75%、2年物国債の金利は3.5%、金利先物市場の来年末の政策金利の予想は2.75%ということになっている。
これが金融市場の織り込みであるということは、新議長がこの織り込み以上に緩和を推進する場合、金融市場はこれよりも低金利になってゆくということになる。
結論
新議長にはウォラー理事などの名前が上がっているが、はっきり言ってぱっとしない名前ばかりだ。本物のヘッジファンドマネージャーであるベッセント氏が議長になるなら面白いことにもなっただろうが、単にトランプ大統領が望むような金融政策をやりそうな人物しか名前が挙がっていない。
したがって新議長の金融政策はトランプ政権の金融政策ということになりそうである。
そしてベッセント氏は、12月のFOMC会合について次のように言っている。
Fedが利下げすることを祈っている。
彼らは「データがない」と言うが、データがないならば保険的に利下げすべきだろう。
個人的には、ベッセント氏はインフレと経済悪化の板挟みになりたくないから中央銀行の職を断ったのではないかと思わなくはないのだが、どうだろうか。
ここからの相場予想については以下の記事を参考にしてもらいたい。