個別株: ドイツの空港保有会社Fraportは原油安で好決算、米保険会社のLincoln Nationalは債券安で堅調

5月7日、フランクフルト国際空港などを保有・運営するドイツのFraport (XETRA:FRA、Google Finance)は2015年1-3月期の決算を発表、売上高は前年比10.8%増の5.8億ユーロ、純利益は前年比76.7%増の1060万ユーロとなった。決算を受けて7日の株式市場では3.8%高で取引を終えた。以下の紹介記事の時点より9.7%上昇したことになる。

決算の内容としては、原油安による世界的な航空旅客増加の恩恵を受けた形となる。旅客数が前年比2.7%増となったフランクフルト国際空港に加え、70.01%を保有するペルーのリマ国際空港では8.6%の増加、24.5%を保有する西安国際空港では17.6%の増加、10%を保有するインドのデリー国際空港では13%の増加となった。

また、ユーロ安も総合的にプラスに働いた。フランクフルト国際空港では国際旅客数が3.6%増と欧州旅客数の2.2%増を上回った。海外客が空港内で活発に小品を購入したことにより、小売り・不動産部門の売上は6.5%増となっている。しかし特筆すべきは売上高が1億ユーロと前年比43%増となった海外部門であり、ユーロ安とアジアにおける旅客増加が後押しとなった。

Fraportは現在の相場では非常に優れた投資先である。ユーロ安と原油安の恩恵を受け、また不動産銘柄でもあるため、インフレにより量的緩和期待が後退した場合にも、その時には不動産価格も上がっているはずであるという目論見が可能である。株価が€60の天井を突き破ることが期待されるが、それ以降は€70前後に向けて徐々に利益確定してゆくという方針が良いだろう。

Lincoln National (NYSE:LNC)

米国の保険会社Lincoln National (NYSE:LNC、Google Finance)は米国株が軟調であるなか相対的に堅調な動きを見せており、以前より推奨している米国株ロング・ショート戦略のなかで優れた効果を顕している。

これは最近の市場で米国の長期金利が上がっている(債券価格が下落している)ことが保険会社の運用利回りを改善することを織り込んでいるのである。

Lincoln Nationalと米国株全体(S&P 500)のロング・ショートも現在の相場で非常に重要なトレードである。一つには、S&P 500の銘柄群が割高であるなか、Lincoln NationalのP/E(株価収益率)は10前後と過小評価されており、割高の売り、割安の買いとなっている。

しかも、Lincoln Nationalは債券下落(利回り上昇)に恩恵を受ける銘柄であるため、利上げが近づいて金融引き締めが意識され、株式と債券が同時に下落するとき、Lincoln Nationalは他の株式に対して相対的には上昇せざるを得ない。このロング・ショートは、中央銀行の動きに直接影響される単純な債券空売りよりも確実であり、2015年の難しい相場ではこういう微妙な取引を重ねてゆくことが成功の秘訣となる。

Micron Technology (NASDAQ:MU)

最後は何度も記事にしているMicron Technology (NASDAQ:MU、Google Finance)である。決算後26ドル台で推移していた株価は一時30ドル近くまで回復したが、7日の市場で一時26ドル台に落ち込んだ。

何度も言うようにこの水準はP/Eで8前後となり、買い場である。2013年のApple (NASDAQ:AAPL、Google Finance)のように、長らく下落してきた株価が回復するまでには時間が掛かるが、投資の基本は単純であり、安ければ買い、高ければ売りである。