ビットコイン価格下落中、株安の前触れか

主要な市場は相変わらずあまり動いていないので、今回は動いている他の市場を取り上げよう。ビットコイン相場である。

ビットコインは株価の先行指標か

ビットコインは値動きの激しいことで知られるが、ここの読者には2018年の世界同時株安を予想した債券投資家のガントラック氏が株式相場の先行指標として使っていたことが記憶に残っているのではないか。

事実、ビットコインが市場最高値を付けたのが2017年12月、1回目の世界同時株安が起こったのが2018年1月なのである。当時のことは以下の記事に纏めている。

ガントラック氏によれば、ビットコイン相場は市場の中の過剰な資金の流れを象徴するのだという。ビットコインが上がっているということは市場に資金が溢れているということであり、下がっているということは資金が枯渇しているということだと彼は主張していた。彼は2018年の相場を見事に予想したが、その一因はビットコイン相場を見ていたからなのかもしれない。

2019年のビットコイン相場

さて、それから1年以上が経過している。アメリカの中央銀行がどっちつかずなため、株価は上にも下にも行っていない状況が続いている。ドル円も同様であり、こうした状況では主要な市場以外を眺める好機である。

それでビットコインのチャートをもう一度見てみようということである。先ずは米国株のチャートから掲載したい。

もう半年ほども何処にも行っていない。アメリカの中央銀行が今後の方針を示していないから市場が何処にも行かないと考えれば、やはり株価の今後の見通しはアメリカの金融政策次第ということになる。

では、市場の資金の流れを象徴するとガントラック氏が主張したビットコイン相場はどうなっているだろうか。以下はビットコイン価格のチャートである。

やや下がり始めている。最近の20%ほどの下落を「やや」と表現するのが的確であればであるが。

ただ、それよりも注目してもらいたいのはビットコインが6月(10/7訂正)に天井を付けていることである。一方で米国株のチャートは7月が天井である。

この現象をビットコインが株価を先取りしたと解釈するのであれば、直近のビットコイン下落は今後の株安を示唆するものとなる。

結論

筆者はビットコインが株価の先行指標であるというガントラック氏の主張を共有してはいない。根拠が盤石とは言えないからである。

しかしビットコイン市場が世界の金融市場の一部であることは事実であり、株価やドル相場が何処にも行かない状況下では特に他の市場の動きに注目することは役に立つ。

ビットコインに限らず、様々な市場の動きをこれからも報じてゆく。因みにビットコイン相場自体に対する筆者の長期的な見方は以下に掲載した。