「デイヴィッド・キャメロン」タグアーカイブ

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力

イギリスの国民投票についてはリアルタイムで報じ続けているが、EU離脱が正式に決まったことでもあるし、この辺りで一連の出来事についてコメントを残しておきたい。

今回の結果にははっきり言ってかなり驚いた。イギリス人は驚くべきことにEU離脱を選んでしまった。これは並大抵の精神力ではない。何故それが並大抵の精神力ではないのかについて、この記事では詳説したいと思う。

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イギリスのEU離脱国民投票はどうなるか?: 移民問題、ユーロ危機、世論調査

イギリスのEU離脱(Brexit)問題については以前にも報じたが、6月に入り国民投票の日程も近づいているので、事前の世論調査や関係者の発言など、最新の状況を再びまとめてみたいと思う。

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イギリスのキャメロン首相、パナマ文書問題で支払い済みの税金を支払えと迫られる

パナマ文書に関する一連の騒動は富裕層が資産を隠していることが問題なのではない。富裕層が資産を持っていること自体が問題とされているのであり、このことはイギリスのキャメロン首相への民衆の反発によく表れている。

2016年4月、パナマの法律事務所Mossack Fonsecaのサーバがハッキングされ、同社の登記した会社とその所有者に関する膨大な情報が流出した。以下の記事ではパナマ文書は誰がリークしたのか、そしてリークの目的は何であったのかについて論じた。

そして中国やロシアなど旧共産圏の政治家が非難の的になっていることも述べたが、しかし情報統制を敷ける中国やロシアに比べ、そうではない民主主義国の政治家はより困難な状況に直面している。例えばイギリスのキャメロン首相である。

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イギリスがEUを離脱したがる理由: イギリスの要求は何か? 国民投票はどうなるか?

テレグラフ紙(原文英語)によれば、英国のキャメロン首相はEU離脱を問う国民投票において、EU側の歩み寄りがない場合、EU離脱を自ら国民に呼びかける可能性を示唆した。

キャメロン首相率いる保守党は2017年末までにEU離脱を問う国民投票を行うことを公約にしており、情勢次第では国民投票を2016年内に早めることも示唆している。今回の首相の発言は、移民やテロなどの問題で混乱するヨーロッパ大陸を見、EUから距離を置こうとするイギリス国民の民意を反映してのものと思われる。

そこで、今回の記事ではイギリスがそもそも何故EUを離脱しようとしているのか、今後の展開はどうなってゆくのかを考えてみたい。

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イギリスのしたたかな対中外交、中国の習近平主席が「先見的かつ戦略的」と評価

中国の習近平主席がイギリスを訪問している。イギリスは中国の主導するアジアインフラ投資銀行の出資にヨーロッパ諸国で一番最初に名乗りを上げるなど外交面で中国をサポートしており、習近平主席は10月18日、訪英に先立って、イギリスの外交を「先見的かつ戦略的」であり、今回の英国滞在で英中関係が黄金時代に入ることを望むと述べた(ロイター)。

この習近平主席の発言はまったく正しい。イギリスは国を挙げて中国を優先的に扱っていた国であり、政府のみならず国民のなかでも、中国への関心はずっと高かった。もう10年以上も前から、ロンドンで知的階級の社交の場に赴けば、中国の文化に関するレクチャーやセミナーなどが頻繁に行われており、中国経済が巨大になるということを見据えて、経済面のみならず歴史や文化の面からも中国という国を理解しようと努力してきたのである。

しかしながら、イギリスにとって理解しようと努力することは必ずしもその国を好むということではない。今回の習氏の訪英は険悪なムードに終わった訪米とは違い、基本的に和やかなムードで進んでいるが、唯一軋轢が生じたとすれば、それは反中国で知られる次期国王、チャールズ王太子の晩餐会欠席である。

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イギリスは内閣改造でEU懐疑派議員を外務大臣に採用へ

15日、イギリスのキャメロン首相は内閣改造を発表した。外務大臣、国防大臣、教育大臣、保健大臣、環境大臣などの人事変更が行われているが、この中で重要なのは外務大臣に就任したフィリップ・ハモンド氏である。

以前保守党の党首も務めたウィリアム・ヘイグ氏に代わって任命されたハモンド氏はEUの統合深化に懐疑的な姿勢で知られており、テレグラフ誌によるインタビュー(英語)において、ほかのEU諸国との交渉への意気込みを語っている。インタビュー映像からいくつか発言を引用する。 続きを読む イギリスは内閣改造でEU懐疑派議員を外務大臣に採用へ

EU首脳会議はユンケル氏を欧州委員長に指名、安定成長協定の柔軟運用も確認

26-27日に開かれたEU首脳会議では、大方の予想通り元ルクセンブルク首相のユンケル氏が欧州委員長として指名された。欧州理事会によって指名された候補は欧州議会によって承認される見通し。また、イタリアのレンツィ首相の主導により、EU加盟国の財政赤字を制限する「安定成長協定」の柔軟な運用が議論され、財政赤字がGDP比で3%以内の国に対して財政再建を猶予する規定の積極利用が確認された。順にこれらの決定をレビューする。 続きを読む EU首脳会議はユンケル氏を欧州委員長に指名、安定成長協定の柔軟運用も確認

EU首脳会議前夜: 欧州の建設株は結果待ちで調整入り

26-27日にブリュッセルでEU首脳会談が開かれるが、次期欧州委員長は元ルクセンブルク首相のユンケル氏で決まりそうである。英キャメロン首相の反対工作は奏功せず、フランスやイタリアは緊縮規定の機動的運用を条件に支持をする意向で、イギリスに追従してユンケル氏に反対しているのは、ハンガリーのオルバーン首相くらいである。 続きを読む EU首脳会議前夜: 欧州の建設株は結果待ちで調整入り

欧州委員長人事で英キャメロン首相が孤立、伊レンツィ首相は英国を踏み台に緊縮緩和を要求

次期欧州委員長の人事で英国のキャメロン首相が孤立している。キャメロン首相はドイツが推薦する元ルクセンブルク首相のユンケル氏の欧州委員長就任に強く反対し、彼が欧州委員長となった場合、英国はEU離脱の可能性もあるとしてドイツと交渉を続けてきたが、こうした状況を見たイタリアのレンツィ首相は「経済成長と雇用創出を重視する考えがあるならば、人物自体は誰でもよい」として、ユンケル氏が緊縮財政の緩和について譲歩する場合、彼を支持する用意がある考えを示した。イギリスが勇み足でEU離脱という最後のカードをちらつかせた状況を利用して、より穏やかな譲歩案を提示した形となる。 続きを読む 欧州委員長人事で英キャメロン首相が孤立、伊レンツィ首相は英国を踏み台に緊縮緩和を要求

欧州は分裂するのか?: 欧州議会選挙後の各国の政治動向

欧州議会選挙のあと、EUが各国に課してきた緊縮財政、低インフレ政策への反発が増し、スペインやポルトガルでは早速雇用創出や減税などへの動きがロイターで報じられている。

とりわけスペインは動きが早く、63億ユーロの雇用創出案と法人税の減税を来週承認する予定である。南欧に資金をシフトした投資家は報われることになりそうだ。選挙の結果も含め、欧州議会選挙後の各国の動向を下記にまとめる。 続きを読む 欧州は分裂するのか?: 欧州議会選挙後の各国の政治動向