「日本の債券市場」カテゴリーアーカイブ

サマーズ氏: ロシアは対露制裁でむしろ儲かっている

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、ウクライナ危機後のロシアについて面白いことを語っている。

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物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行

コロナ禍による景気後退で先進国のほとんどは野放図に量的緩和と現金給付を行なっている。アメリカでは既に物価高騰の初期症状が出ているが、気に留めている政治家は見られない。一方でインフレの危険性に気付いてインフレ主義から逃げ出そうとしている国がある。イギリスである。

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日銀がETF買い入れ倍増の追加緩和、株式市場への影響は下落方向に決まっている

新型コロナウィルス肺炎で市場が急落している問題で、日本銀行は3月16日に金融政策決定会合で株式ETFの買い入れ額を倍増させ、量的緩和政策を強化することを決定した。その株式市場への影響はどうなるかと言えば、下落方向に決まっている。

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日銀、物価目標の達成時期を先延ばしの可能性も

NHKの記事だが、余りにも間が抜けているので笑ってしまった。日銀の黒田総裁によれば「物価上昇率がマイナスに陥っていることを考えると、(達成時期の)修正もありうる」だそうである。現在マイナスのインフレ率が来年にはいきなり2%になっている見込みが万一危ういものだとすれば、確かに修正も「ありうる」だろう。こういう馬鹿なことを言っているから市場に見放されるのである。

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量的緩和バブルの終焉: もし日銀がすべての国債と株式を買い入れたら

多くのファンドマネージャーが指摘するように、現在の相場は株式も債券もすべてがバブルである。著名債券投資家のビル・グロス氏は量的緩和によって人工的に押し上げられた資産価格を「カジノのような市場」と呼び、ジョージ・ソロス氏は2008年の再来と呼んだ。

しかしそのバブルが具体的にいつ崩壊するのかという点については、それぞれの投資家は別の見解を持っているだろう。

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日銀の総括検証は緩和縮小か、量と金利の景気刺激効果の比較

日銀は2016年9月の決定会合で金融政策の総括検証を行い、これまでマネタリーベースを増やす量を調節することで緩和の度合いを操作していたものを、これからは長期金利に目標を定めて国債の買い入れを行うことで緩和を行うという金利操作目標を導入すると発表した。

これを受けて市場はやや困惑している。発表直後には1-2円ほど円安で反応したドル円も、その時の水準から徐々に下落しつつある。

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9月日銀決定会合結果: 総括検証は銀行株への配慮以外に意味はなし

9月21日、日銀は金融政策決定会合で政策の総括検証を行い、マネタリーベースの増加目標を撤回し、短期金利のほかに長期金利の目標値を設定する長短金利操作の方針を発表した。

様々なメディアが今回の政策決定の大枠を大仰に伝えているが、日銀が今回やったことは以下のことだけである。

  • 国債の年間買い入れ額(マネタリーベース増加量)の目標値を撤廃
  • 長期金利が一定値より上がらないように国債を買い入れる方針を表明

つまり、国債の買い入れ方を変更するということである。個人的には日銀のやることなどかなり以前から気に留めていないし、今回の変更も取るに足らないものと考えているが、この記事では一応この変更が金融市場に与える影響についてざっと考察する。

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レイ・ダリオ氏が語る米国利上げの危険性と日銀の追加緩和が効かない理由

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運営するファンドマネージャー、レイ・ダリオ氏がCNBCの主催するDelivering Alpha会議(原文英語)でアメリカの利上げと世界経済に残された金融緩和の手段について語っている。世界中の投資家が米国利上げの影響と金融政策の先行きについて注目する中で発せられたダリオ氏の意見は、多くの投資家にとって傾聴に値するだろう。

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バブルになる日本経済、GDPは不動産と政府消費が主導しゼロ成長からやや持ち直し

日本の第2四半期(4-6月期)のGDP統計の速報値が公表され、実質GDP成長率は0.60%(前年同期比、以下同じ)となり、前期確報値の0.13%よりやや持ち直した。

2016-2q-japan-real-gdp-growth

ただ、ほとんどゼロ成長に近いことは変わりなく、内訳も良い内容とは言いがたい。順に各項目を見てゆこう。

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ヘリコプターマネーはドル円とマネタリーベースにどう影響するか

ヘリコプターマネーが話題となっている。日本政府がヘリコプターマネーを検討し始めたようであり、Fed(連邦準備制度)の前議長であるバーナンキ氏も来日して安倍首相と話したという。

バーナンキ氏はヘリコプターマネーに何度も言及したことから「ヘリコプター・ベン」と呼ばれた中央銀行家であり、ロイターによればバーナンキ氏は安倍首相に「金融政策に限界はない」と話したという。

この発言の真意も含めて、バーナンキ氏がヘリコプターマネーの可能性について話したとすればどのようなことを話したかは大体予想が出来るから、その辺りを順に説明し、また最近の為替相場における円高に関心のある読者も多いだろうから、ヘリコプターマネーが円安をもたらすかどうかについても詳しく議論したい。

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