「株式市場」カテゴリーアーカイブ

日銀の量的緩和は財務省主導の財政ファイナンスであり、その財務省はこれ以上の追加緩和を望んでいない

量的緩和の為替市場や株式市場に対する効果はこれまで散々議論してきたが、その背景にある政治的意図について詳しく書いたことはなかったと思うので、一度記事にしておきたい。2回目の追加緩和があるかどうかということは、インフレ率やGDP成長率の問題ではなく、政治的問題だからである。

先ず、2013年4月に導入された日銀の量的緩和政策はどのような政治的経緯で決定されたものであったか? これは2012年後半に首相となった安倍氏が緩和的な金融政策を望み、その意向を汲んだ人物として黒田氏を日銀総裁に就任させた。

この時、総裁候補として他に有力であった人物に武藤敏郎氏がいたが、黒田氏と武藤氏に共通する経歴がある。大蔵省出身であるということである。

続きを読む 日銀の量的緩和は財務省主導の財政ファイナンスであり、その財務省はこれ以上の追加緩和を望んでいない

世界経済GDP&株式市場比較: 株安の裏で回復する南欧、堅調な英米、増税で沈んだ日本経済

何度も書いている通り、世界の経済大国を見回してみれば、大幅に成長している国はない。中国の景気減退を含めて世界的な需要減を懸念して銅や鉄鉱石など多くのコモディティ価格が大暴落している。

しかしながら、それでも世界のすべての国が低成長であるわけではない。そこで一度、主要国の経済を俯瞰し、投資家にとって何処に利益の機会があるかを探してみたい。

続きを読む 世界経済GDP&株式市場比較: 株安の裏で回復する南欧、堅調な英米、増税で沈んだ日本経済

債券王ビル・グロス氏が世界同時株安で株に投資する方法を語る

ビル・グロス氏はJanus Capitalに所属するファンドマネージャーであり、最近ではドイツ国債の空売りや中国株の暴落を的確に言い当てたことで名高い。

彼は間違いなく、米国利上げ前の相場についてもっとも優れた理解をしている投資家の一人である。彼は債券投資家であり、株式の投資は専門外だが、彼はJanus CapitalのTwitterアカウントにおいて、自分が株式をトレードするならばどうするということを述べている。 続きを読む 債券王ビル・グロス氏が世界同時株安で株に投資する方法を語る

世界同時株安はいつまで続くのか? 追加緩和をするとすればどの中銀か?

米国の利上げと中国の景気減速への懸念で8月に始まった世界同時株安は一度リバウンドしたものの、その後値を下げ、再び8月24日の安値に近づきつつある。

これまでも言っているように、世界同時株安の原因は、株を買うべき要因が世界的に存在しないことであり、日銀やECB(欧州中央銀行)の追加緩和やFed(連邦準備制度)の利上げ撤回など新たな要素がなければ中長期的な株安は変わらないだろう。

2015-9-28-s-and-p-500-chart 続きを読む 世界同時株安はいつまで続くのか? 追加緩和をするとすればどの中銀か?

アトランタ連銀総裁がFOMC会合の結果と今後の利上げについて語る

9月16日から17日のFOMC会合を終え、Fed(連邦準備制度)の連銀総裁たちが今回の決定についてコメントをしているが、そのうちアトランタ連銀総裁のロックハート氏の発言のなかに重要なコメントがあったので言及しておきたい。

ロイター(原文英語)によれば、Fedは今回の会合で政策金利を維持することを決めたが、この決定についてロックハート氏は「現在の市場のボラティリティに対するリスク管理という観点に多くのウェイトを置いて判断した」と述べており、市場の不安定性を考慮したことを表明した。

また、ボラティリティは「より本質的な病巣の兆候」(a symptom of more fundamental ills)である可能性があるとし、進展をもう少し見守るのが良いと考えたとした。

続きを読む アトランタ連銀総裁がFOMC会合の結果と今後の利上げについて語る

米国利上げは延期、やや不可解なFOMC結果をどう解釈するか

速報でも報じたように、 9月17日、Fed(連邦準備制度)は政策金利を維持し、利上げを先送りにする決定を下した。今後の方針については、引き続き多数の会合参加者が年内の利上げを想定しているという従来の表現を続けたのみで、利上げについてこれまで以上の情報発信をすることはなかった。

表題に「不可解な」と書いたのは、以前の記事での予想、つまり、利上げをしない場合は近日中の利上げをはっきりと表明するという想定が外れたからである。この想定が外れた場合に何が不合理であるのか、そしてその矛盾は何を暗示しているのかを、この記事で考えてみたい。 続きを読む 米国利上げは延期、やや不可解なFOMC結果をどう解釈するか

米国利上げに関する著名ファンドマネージャーたちの見解

米国の利上げについてはここでも様々記事を書いてきたが、9月16-17日のFed(連邦準備制度)のFOMC会合を間近に控え、著名投資家たちも自身の意見を表明しているので、これらを纏めてレビューしておこう。

ジム・ロジャーズ氏

先ずはYahoo! Financeのインタビューに答えているジム・ロジャーズ氏からである。彼は利上げ後の市場については弱気派であり、Fedは金融政策を逆戻しする羽目になると主張する。 続きを読む 米国利上げに関する著名ファンドマネージャーたちの見解

9月16日、17日のFOMCで米国は利上げするのか?

さて、いよいよ利上げの可能性のある初めてのFOMCが行われようとしている。Fed(連邦準備制度)は米国時間9月16日と17日に政策決定会合であるFOMCを開催し、その結果を17日に発表することになる。

Fedの利上げについては長らく記事にしてきたが、9月の利上げの可能性について再び纏めておこう。個人的には可能性の高いシナリオは2つあり、可能性は五分五分であると考えている。2つのシナリオとは以下の通りである。 続きを読む 9月16日、17日のFOMCで米国は利上げするのか?

米国利上げ後の投資戦略: 株価がいずれ暴落する理由と為替、債券、金がどうなるか

2015年8月に株式市場が急落した後、市場はいまだ軟調であるが、以下の記事に紹介した通り、Fed(連邦準備制度)の姿勢は変わらず利上げに積極的である。

世界最大のヘッジファンド、Bridgewaterのレイ・ダリオ氏などは米国の量的緩和再開を期待していたようだが、そのような投資家の希望的観測が当たらないということは、ここで一貫して主張してきた通りである。上記の記事では世界同時株安後の連銀総裁たちの発言を引用したが、それらの発言通り年内利上げは既定路線だと見るべきだろう。

さて、これらの状況を踏まえて投資家は今後の戦略を考えなければならない。基本的にはここに何度も書いてきた通りなのだが、重要なポイントを纏めてみよう。

続きを読む 米国利上げ後の投資戦略: 株価がいずれ暴落する理由と為替、債券、金がどうなるか

中国株暴落で中国経済はどうなるか?: 景気減速の原因と中国経済が日本のバブル崩壊時に似ている理由

中国株安については7月11日に上記の記事で報じたが、上海総合指数は結局5178から2850まで下がった。記事を書いた当時、中国株は一度リバウンドし、4000近辺をうろうろしていたが、予想通りそこでは止まらず2000台まで下落した。

これまで書いてきた通り、中国経済のバブルとは地方政府の債務や理財商品、不動産のことであり、株式のことではなく、投資家の目線は株価自体よりも中国経済そのものに向かっている。世界の経済成長の多くの部分が中国によってもたらされてきたのだから、その懸念は当然である。したがってこの記事では、頭打ちを 迎えている中国経済はこれからどうなるのか、長期的に成長の余地がまだあるのかを考えてみたい。

続きを読む 中国株暴落で中国経済はどうなるか?: 景気減速の原因と中国経済が日本のバブル崩壊時に似ている理由