引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。
今回は、ガンドラック氏が金価格について語っている部分を紹介したい。
アメリカの利下げ開始
前回の記事では、ガンドラック氏は最近利下げを開始したFed(連邦準備制度)が、緩和をしすぎる可能性に言及していた。
失業率が上がっている上に、雇用統計の過去のデータが大幅に下方修正されたので、インフレ率が上がっているにもかかわらず急な緩和を強いられる可能性が出てきたということである。
その結果は何か? ドルの下落である。だが、円やユーロも問題を抱えている状況では、それは為替レートに反映されにくい。ドルはここ1年ほど下落しているのだが、日本人がそれを感じていないのは、円も同時に下がっていてドル円がその結果ほとんど動いていないからだ。
金価格高騰
では、ドルも円も下がっているなら、何が上がっているのか? ゴールドである。紙幣がすべて信用できない状況なので、貴金属に資金が流れているのである。
ガンドラック氏は次のように述べている。
金相場は過去2年、もはや笑うしかないような状況だ。金価格は2倍になった。今年の上昇幅も45%だ。
金価格は次のように推移している。

ゴールドの主な買い手は、少なくともこれまでは各国の中央銀行である。
米国債の買い手不足の問題と、ウクライナ戦争以後のアメリカの振る舞いから、外貨準備をドルで保有することをリスクに感じている国が増えているのである。
金相場に個人投資家も参加開始か
ゴールドについてはここでも去年からずっと推奨記事を書いているから、金価格が上がっていることはここの読者には周知の事実である。
だがガンドラック氏はその脇にも目を向けている。ガンドラック氏は次のように述べている。
そして今では金鉱株も上がってきている。わたしの見立てでは、それは個人投資家たちも金相場上昇の流れに乗ろうとしている証拠だ。
金鉱株とは、ゴールドを採掘している企業の株のことである。
その筆頭はBarrick Mining Corporationだが、その株価は次のように推移している。

どうだろうか? 多くの人にとってはその上がり方よりも、むしろ今年の半ばまで金鉱株が上がっていなかったことの方が驚きではないのだろうか。
こういう明らかな出遅れは相場にはたまに存在して、それがトレンドに追いつくことを辛抱強く待てる投資家に利益を与えてくれるのである。
それはゴールドに対して出遅れだったシルバーの上昇を長らく待ち続けた(筆者を含む)投資家にも言えることである。
銀価格は次のように推移している。

金価格の動向予想
しかしやはりその中心にいるのはゴールドである。ガンドラック氏は次のように述べている。
わたしは以前、年末までに金価格は4,000ドルになると言った。金価格はもう3,700ドルまで来ている。年末までにはほとんど確実に金価格は4,000ドルに到達するだろう。
なぜゴールドはここまで上がり続けるのだろうか。何度も言っているが、金価格は既にインフレ率と金利で考えた適正水準をとうの昔に上回っている。
だが、にもかかわらず、ガンドラック氏も筆者もゴールドの上げ相場はまだまだ終わらないと考えている。
何故なのか。その理由は、エゴン・フォン・グライアーツ氏が一番上手く説明してくれるだろう。
また、金鉱株の話が出てきたので、ゴールドの需要と供給の基本的な話については、ジム・ロジャーズ氏の『商品の時代』を参考にしてほしい。古い本だが、貴金属を含むコモディティ投資の基本的な知識を教えてくれる。